朗読者(※ネタばれしてます。)

同輩が私に勧め、貸してくれた。映画「愛を読む人」の原作本らしい。人から借りて本を読むことの楽しさは、自分では絶対選択しないような本を読めることだと思う。

ニュルンベルク・インタビュー(上)

戦争裁判にかかったナチス関係者に対し、アメリカの精神科医が行ったインタビューをまとめたもの。被告の精神衛生を考慮して精神科医の面接が入れられていたというのが建前だが、実際には「非人道的な残虐行為を行った彼らはどんな人間なのか?」という精神…

シャネルの真実

先日一緒にシャーリー・マクレーンの映画を見に行った同輩が映画終了後に購入し、貸してくれた本*1。内容はシャネルの一生について、元新聞記者の著者が取材しまとめたもの。同輩の感想は「カタカナばかりの似たような名前が出てきて読みにくい」とのことだ…

「毒ガス戦と日本軍」吉見義明

先日研修に行った際「老い」に関する哲学書みたいのんがいくつか出ていることを知り、図書館に探しに行ったのだが、気がついたらまたこの類の本を借りていた。なかなか毒ガスから離れられませんな。 結構分厚い本なのだが、極めて読み易く・わかりやすくてダ…

ヒトラー政権と科学者たち(その2)

しばらく頓挫してて、最近ようやく読み終わった。訳本のせいか文章が凄く読みにくかったのと、怒涛の勢いで登場する人物名をさばききれなくて辟易したのが頓挫の理由。しかし読み終えてみれば、それなりに得るものはあって面白かった。 誤解もあるかもしれな…

被差別の食卓

日本なら被差別部落、外国ならロマとか黒人とかアウトカーストの人とか、差別を受けてきた人々の食文化を紹介している本。本の内容自体は凄くシンプルで、1時間もあれば読めてしまう。「ソウルフード」という言葉の意味、フライドチキンはアメリカの被差別民…

ヒトラー政権と科学者たち(その1)

アインシュタイン、ボーア、ハーバー、ヘルツ、ラウエ。高校の教科書レベルの理科知識しかない私でも知っている名前がどんどん出てくる。第一次世界大戦〜ナチスが政権掌握するまでのドイツの科学って凄かったんだなあとしみじみ感嘆。シュトロハイムの「我…

「ヒトラー政権と科学者たち」バイエルヘン著、常石敬一訳

昨年秋頃(私の中で)静かに起きた、常石敬一ブームの余波で読み始めたのだが、ナチス台頭のあたりの年表がビタイチ頭に入ってないのとワイマール憲法下のドイツ国内状況&当時のヨーロッパの国際関係の知識もほぼ皆無なので、読むのがしんどい。予備知識を仕…

ドキュメント日本の公害

日本の有名な公害を、発生から発刊当時の最新動向までをまとめて紹介している本。10巻程度のシリーズ本であり、私が読んだのは薬害・食品汚染の巻だけだったが、シンプルにまとめてあって読みやすく、適当に興味を惹くような語*1も含まれていて飽きずに読め…

頭の中をこんにちは 「アラステア画集」生田耕作、平田雅樹編

先日購入したアラステア画集に一通り目を通し終える。アラステアの絵は様々な小説の挿絵に使われたものが多く、「彼が小説にインスパイアされて描いた」ものらしい。ビアズリーよりずっと頽廃美濃厚。おどろおどろしくさえあって、一気に全部見ると結構お腹…

アミナダブ

昔々私がまだ大学に入ったばかりの頃に読んだ小説をまた読みたくなる。確かアミナダブというタイトルで、フランスの小説だったと思う。 当時読んだ時は、現代哲学の文脈で理解される話なんだろうけど、なんだか難しーいって感じで、読み切れなかった覚えが。…

 化学兵器犯罪

先日の旅行中ずっと読んでいた本。化学兵器の開発・使用法の歴史を、文献や政治的流れを根拠に辿っていく。政治的・戦争戦略的な話題がメインで、その他にオウムのサリン使用などテロリストが毒ガスを用いることへの脅威など比較的新しい話題も取り上げてい…

「地図から消された島」武田英子

これまた大久野島本。タイトルは戦争中に大久野島が日本軍の毒ガス製造の秘密島として、地図から抹消されていたことに由来する。 ガスの漏出を完全には防げず島中に毒ガスが漂い、毒ガスの製造に直接加わらなかった労働者にまで毒ガス被害が及んだらしい。読…

「写真集・毒ガス島」 樋口健二

施設の写真ばかりかと思っていたら、毒ガスの後遺症に苦しむ人達の姿も載せていた。 その姿に、言葉を失う。 私の先生がやってきて、何をしてるのかと尋ねるので、明後日に向けての予習中なのだが写真を見ると言葉が出なくなると返す。先生それに答えて。 「…

 九州遺産

自転車用地図として、バイカー向け地図が使えると聞いたので、早速本屋へ。驚いたのだけど、今は様々な用途に即した地図があるのですね。自転車用の地図もあった。ただし大阪・東京用で、私には必要なかったけど……頑張れ九州! で、地図やら観光ガイドコーナ…

 「記録・土呂久」 土呂久を記録する会編

宮崎のど田舎であった鉱毒事件と、その患者たちが起こした訴訟が和解に至るまでの過程で様々な立場の支援者たちがどのように関わったかを、それぞれの立場から記録・編集した本。物凄く分厚い本だけど、同じ展開の話が違う観点から何度も語られるので、途中…

 「介護もアート」 折元立身

バイトの合間に図書館に立ち寄り、時間つぶしに何か読もうと物色していたら見つけたのがこの本。まずタイトルの意味がパッと見てわからないあたりから惹かれる。表紙の婆ちゃんの顔もすげえ。下顎の筋肉が弱くなって口が開きっぱなし、いかにも痴呆という感…

石炭史話 ―すみとひとのたたかい―

九州の石炭発見〜鉱業の始まり〜衰退までを、主に筑豊を取り上げて書いた本。朝日新聞の連載を本にしたらしく、1つのエピソードが4ページ程度にまとめられており、きわめて読みやすい。貝島、麻生など炭鉱で一発当てた人達や筑豊の有名人の立志伝をさらり…

どうして食べてくれないの? 子どもの食事

最近のマイブームの一環で読んだ育児書。一般向けに書かれているので、読みやすかった。 本の主張としては 献立と食事のマナー、決まりごとは親が設定し、守らせる。 何を・どのくらい・食べるかは子どもに任せる。食べたがらない物を強要して食べさせたり、…

 かなづちスープ(食べたくなる本)

本を食べたくなるんじゃなくて、本に出てくる食べ物が食べたくなるんです。私はこれ、しょっちゅうです。 で、子どもの頃魅了して止まず、未だに時折思い出す「本に出てくる美味しそうな食べ物」の1つが「かなづちスープ*1」。具材にかなづちを入れて煮込む…

 離乳の食文化―アジア10か国からの調査報告

最近仕事の関係で、乳児がちょっとしたマイブーム。で、これ。 ハチミツ*1を舐めさせるとか、ミロを離乳食に使うとか、「人生は酸いも甘いもある」ことを教えるために、誕生後哺乳より先に甘いものと苦いものを舐めさせる儀式がある、なんて話は面白かった。…

東京遺産 森まゆみ著

まだ読みかけなんだけど、読んでいるうち昨日の大牟田の講演会のことを思い出したので一つ。 昨日の講演会は患者とその家族ばかりで、おまけに最後は団結のコールだし、私すげえ場違いだなあと思った。 大牟田労災病院の現状と高次脳機能障害を第三者に知っ…

 ほんとうの私

この本が出版された頃、私はミラン・クンデラが大好きで、早く読みたいなあとわくわくしていた。で、いつしかクンデラ熱も引いて、何となく小説を一切読まない時期が来て、ようやく今手に取って読了。 しばらく小説を読んでいなかったからかもしれないけど、…

 悪童日記

ここ数年小説を読んでおらず、久しぶりに読んだ小説だと思う。しかもこの作品、10年近く前に読んだことあるんだけど。 今読むとまた違う印象を受ける箇所もあったが、奇妙な読後感は相変わらず。「起こった出来事以外の記述は禁止」という双子のルールに則っ…

 上野英信本2冊/追われゆく坑夫たち・地の底の笑い話

上野英信は自身も筑豊地方の炭坑で働いていた人で、坑夫たちの生活などをルポルタージュしたのがこれら2冊の本。 追われゆく坑夫たち (岩波新書)作者: 上野英信出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1960/08/20メディア: 新書 クリック: 8回この商品を含むブロ…

 Return of the Bunny Suicides

先月東京の丸善に行った際、見かけて手に取ったけど、買わなかった本。このテの漫画絵本は好きだけど、大概衝動買いの域を出なくて、帰宅してから扱いに困る本なので自分用に買った例がない。漫画絵本を人にプレゼントしたことはあるけど、この本で扱ってい…

相変わらずの鼻づまり

相変わらず鼻づまり。今日も気軽に、どこで読み止めても問題ない本を読んだ。>>カメのすべて (カラー図鑑シリーズ)作者: 高橋泉,三上昇出版社/メーカー: 成美堂出版発売日: 1997/08/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る カラー写真が豊富で…

 鼻づまりと思考

風邪をひく前までは自分の仕事がらみの本を読んでいたのだけど、鼻詰まりでフガフガしてるのに、考える必要がある本なんか疲れるから読んでいられるか! ということで中止。だらだらと楽しく読める本ばかり読んだ。 ROADSIDE JAPAN―珍日本紀行 西日本編 (ち…

 この前の続き

(前回までのあらすじ)原田正純氏の著作に興味を持ち、医師である氏のメインの仕事、水俣病に関する氏の著作を読んでみようと思ったのだった。 水俣病 (岩波新書 青版 B-113)作者: 原田正純出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1972/11/22メディア: 新書購入:…

 最近読んだ本

ようやくまとまって時間が取れたので、最近読んだ本とその感想など、つらつらと挙げてみようかと。 炭坑(やま)の灯は消えても―三池鉱炭じん爆発によるCO中毒の33年作者: 原田正純出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 1997/12/10メディア: 単行本 クリック: 5…