石炭史話 ―すみとひとのたたかい―

九州の石炭発見〜鉱業の始まり〜衰退までを、主に筑豊を取り上げて書いた本。朝日新聞の連載を本にしたらしく、1つのエピソードが4ページ程度にまとめられており、きわめて読みやすい。貝島、麻生など炭鉱で一発当てた人達や筑豊の有名人の立志伝をさらりと紹介しているのが嬉しかったし、九州(筑豊)炭坑史の概要を知るには良い本だった。労働者達が受けた圧制、中央の政財界と地方の鉱山主たちの駆け引き、炭坑で育まれたヤマの文化。サブタイトルは「すみとひとのたたかい」だが、「(炭が介在した)ひととひとのたたかい」って感じだなあと思った。
あと、インタビューに応じてくれた人は字までの住所と年齢付きフルネームで紹介されていた。個人情報保護とかプライバシーとかをうるさく問われなかったのだろう、おおらかな当時*1を偲ばせるというか何というか。

石炭史話 ―すみとひとのたたかい―
朝日新聞西部本社編
http://www.bk1.co.jp/product/85979
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*1:1970年初版発行