どうして食べてくれないの? 子どもの食事

 最近のマイブームの一環で読んだ育児書。一般向けに書かれているので、読みやすかった。
本の主張としては

  • 献立と食事のマナー、決まりごとは親が設定し、守らせる。
  • 何を・どのくらい・食べるかは子どもに任せる。食べたがらない物を強要して食べさせたり、食べることを制限してはならない。
  • 脂肪分の多いもの・甘いものは与えるのを制限する。
  • 食事と間食の時間を決め、決まった時間以外には食べ物を与えないようにする。

 本の一貫した主張は上記リストの上2つで、「子どもには自分に必要な食物を自分で選ぶ能力がある。子どもの力を信じて任せましょう」というのは思いがけない指摘だったけど、なんかわかったような、よくわからないような、微妙な感じ。子どもの食物選択能力を信じて子どもに任せるのは、大人がバランスの良い食事を提供することが前提であって、今や手軽に調理済みメニュー(何が添加されているかわからない・高脂肪・高カロリーなことが多い)が食べられちゃう時代に、子どもの能力に任せて食べさせて大丈夫なのか? 動物実験や人間の実験*1で、能力の存在に裏づけがあると言われても、親は内容に対して半信半疑にならないのかしら。
 でも、食事の時間を決めて守らせるというのは必要だよな、と思った。生活のリズムがはっきりしないと体のリズムも整わないし、だらだら食べは肥満の原因にもなる。
 私は痴呆の高齢者と接する機会が多いのだけど、今すぐ家に帰ると言い張る高齢者に「じゃあ食事だけ食べて行って」と言うと(ムム、食事か……待とうかな)という表情をする。それを見た時、ああ食事というのは強力な魅力なんだなあと思ったものだけど、それは彼らが「食事の時間にしか食べる物は出てこない」という体験を身に焼きつかせている世代*2だからなのかな、とこの本を読んでちょっと思った。「いつでもどこでも食べる物が手に入る」私達の世代が歳を取った時には、どうなるかわからないと思ったりする。

どうして食べてくれないの?―子どもの食事--これだけ知っていれば大安心

どうして食べてくれないの?―子どもの食事--これだけ知っていれば大安心

*1:動物実験があるのは知っていたが、昔々人間対象にも行われたっぽい。

*2:何しろ戦争&食糧難体験世代