陸の孤島・呉

 呉は不思議な都市で、広島県第三の規模を誇る中核市で山陽に位置しているのに、近隣都市からのアクセスが異様に不便である。広島市まで車でも電車でも1時間、東隣の竹原市までも車で1時間半くらいかかる。呉市を通る電車の路線、呉線はとても繊細な路線で、雨風に弱く野生動物にも弱い*1。新幹線も山陽道も通っていないので、飛行機、車、列車(、船)、どの選択肢を取っても近隣の都市から1時間くらいかかる。人と物資輸送のハードルが高く、広島市に近いのに広島市ベッドタウンにはなりきれない印象。しかし地場産業である造船業は斜陽だし、地元大企業だった日新製鋼は撤退を決めたしで、呉市が周辺都市をベッドタウン化して盛り立てて行ける見通しはない。海上自衛隊はいるけれど、自衛隊で街を盛り上げて行ける見通しは少ないしな。

 何とも心許ない話ばかりの呉市だが、先日初めて「れんが通り」を歩く機会があり、古い商店街がまだ残存していてビックリした。福岡の大牟田や久留米も古い商店街はあったけど、もう閉店している店が多いのと通り全体をアーケード化しているのでちょっと暗いのよね。れんが通りはアーケード化されていない箇所がまだ結構残っていて、しかも店舗が現役なのが凄い。こりゃ「孤狼の血」のロケにも使われるわ……と感激する。

 機会あればできるだけ通って、この街並みを十分に満喫したい。ただ、現住地から行こうとすると電車とバスは1時間以上かかるし、車は1時間くらいで着くけど駐車場が全然ないので結構ハードルが高い。うーむ。

 

*1:年に数回「猪のため」運行が遅延する。