ジョジョ・ラビット at サロンシネマ(広島)

 ドイツが舞台なのに英語を話しているのと、オープニングがビートルズの「抱きしめたい」で始まるのが違和感。あと「いかにも合成」なシーン(母子の自転車ピクニックとか)は今時もう少しどうにかならなかったのか。しかし私が見るこの手の映画には珍しく、映画らしいわかりやすさに溢れた面白い映画で、楽しく見た。

  姉は何故誰にも知られず亡くなったのか、主人公の母親は軍人に対して一発お見舞いできるほど強気な関係を持てるのは何故なのかが全然わからなくて気にかかった。歴史的背景が理解できているとその辺わかったのかもしれない。しかし、色々と心くすぐられる演出としかけがしてあり、見ていて楽しい。主人公とイマジナリーフレンドであるヒトラーの幼さ、ヒトラー・ユーゲント(子ども集団)の息苦しさには自分の子ども時代の苦さを思い出させる。スカーレット・ヨハンソン演じる母親の粋さと子どもへの愛は実に素敵。ピクニックに行った際に彼女の美しい靴が大写しになる場面を見て、欧州の靴の美しさを思い出した。この靴の大写しは、その後の母親の処刑を意味する場面と繋がっているのだけど、この時も靴は美しくて落ち着かなかった。「ハイドリヒを撃て!」を見てから、「ナチスは反対勢力には苛烈な拷問を加えた」印象が強過ぎてな。靴が汚れていても良かったんじゃ……と思うが、残酷さを示すような場面は意図的に避けたのかな。

ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦(字幕版)

ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦(字幕版)

  • 発売日: 2018/03/03
  • メディア: Prime Video
 

  登場人物一人一人が魅力的だし、靴やダンスの描写は映画(映像)ならではの表現でスマート。久しぶりにすんなり楽しい映画を観た。