他人の勧める映画を観る

 最近隔週くらいのペースで「客」達と映画鑑賞会をしている。上映演目は「客」お勧めの映画ばかり。誰も観たことがない映画を観たり、私の好きな映画を問うて来たりしても良さそうなものだが、それは一切ない。「客」は既に観た映画をもう一度一緒に観ることになるので、退屈ではないかと思うのだが、今のところそうでもないらしい。「客」達は自分のお気に入りの映画を他者に見せたいのだろうと思っている。で、『X-MEN』シリーズを「客」の解説付きで観たり、「羊たちの沈黙」シリーズをツッコミ入れながら観たりしている。これがなかなか面白い。映画自体も普通に面白いが、いずれも自分で選んだら視界に入らない映画ばかりなので、物珍しくて仕方ない。世の中にはこんなに映画があったんだよなあと改めて思ったりする。そして、ハリウッドって沢山映画作ってたんだなーと感心したり。自分が如何にミニシアター系の映画ばかり観ているかを痛感する。

アンソニー・ホプキンスの怪演が冴える。デフォルメされた精神科医の語り口調と得体の知れなさが最高。ぞっとするような恐ろしい余韻を残すラストも最高。
ハンニバル (字幕版)

ハンニバル (字幕版)

レクター博士アンソニー・ホプキンス)が無敵過ぎる。一方でヒロインに関心を示し過ぎてて、人間味を増してきており、第一作の「得体の知れなさ」に惹かれまくった身としてはちょっと残念な気持ちになった。あと、グッチのドレスと靴を調達して、ヒロインが意識を失っている間に創傷の処置をして、清拭して、ドレスを着させて靴も履かせたのかと思うと、博士のマメさに笑ってしまった。ファーストジェネレーションってサイクロプス達のことじゃないのかと思ってたら、プロフェッサーXの若かりし頃の話だった。マグニートーとプロフェッサーからX-MENが始まったとは知らなんだ。そして、マグニートーとプロフェッサーの関係が如何に萌えるか、「客」から力説される。(私はあんまりわからなかった。)クイックシルバーの活躍シーンが格好良すぎて痺れる。そして、老年期のプロフェッサーとマグニートーを観ているとどうしようもなく懐かしく、傍によって手を握りたくなるような親しみを感じる。高齢者施設で働いていた時に培った感情は、今も消え難く残っていると痛感。ペニーワイズより、性虐待加害者の父親の方が怖かったあたり、自分もつくづくつまらん大人になったとしみじみ。あと、下水道の中を子供たちがバチャバチャ走り、転んで手をついたりするのが「感染症になるぞ! 長靴を履け! 足元に気をつけろ!」と気になってたまらなかった。
 で、今は「客」と会うと、挨拶代わりにペニーワイズのダンス*1を踊り合うのが流行っている。

*1:脚を左右に振る時、蹴るように膝から先をスッと伸ばすのが難しい。