「地獄の黙示録・完全版」

 数年前のロードショー時「絶対観るように!」と兄さん(偽)から指令が出ていたのだが、まんまと見逃した*1映画。ようやく観てきた。
 あんまり有名な映画なので大体のあらすじも有名な場面も話に聞いて知っていたのだが、実際に観るとあんなに心を削られる映画だとは思わなかった……。ナイロンタオルじゃなくて、軽石でごりごり削られる感じ。最初の爆撃しながらサーフィンする指揮官が出てくるところからいきなりごりごり*2。その後も様々な種類の「狂っとる」が登場してごりごりごり。ヘリの音、発砲音、爆発音、音楽。音が物凄くうるさく、会話を妨げるノイズとして苛立ちを煽る。しかしそれらの狂気から反戦的メッセージや悲惨さを受け取ることは無く、ホントにただただ「狂っとる!」という感じだった。カーツ大佐と会ってからよりも*3、会うまでに登場する様々な種類の狂気エピソードが圧巻だった。カーツ大佐に会うまでのモノローグも話に引き込まれるのに効果的でわくわくしたし、上映時間3時間半と猛烈に長いのだが、長く感じることなく観られた。
 終わってから映画の感想を話したくて、会長(鑑賞体験がある仕事の大先輩)に電話してみた。凄かったっす、気が触れてますねあれはーと言うと「馬鹿だねえあんなもの観て……」と苦笑いされる*4。映画にやられてサポートを求めて電話してきたと思われた様子で、「あまり考え過ぎないことよ」とか「まあ有名な映画を1つ押さえたくらいに思っておきなさい」等々、なんか色々優しくされる。ホラー映画観た後でトイレに行けなくなってしまった子どもがあやされているような扱われ方をされて多少不本意な気持ち。まあココロ削られたし、無自覚にサポート求めていた側面もあったのかな、などと考える。
 自宅最寄駅から自宅までの帰り道は大雨と雷でひどいことになっていた。何も最後までこんなオチつけんでもいいのに天気! 雷怖さにびくびくしながらびしょ濡れになって帰宅。

ciemaというところ

 九州ではあまり上映されない映画を頻繁に取り上げる映画館ということで、一度行ってみたいと熱望していた映画館。
 地図で見ると佐賀市の繁華街の中にある映画館のようだったのだが、19時頃最寄バス停を降りると周辺があまりに暗いので驚く。近くに商店街もあるようだったのだが、ほとんど人が歩いていないし暗いし道は狭いし、19時でこれはちょっと……。行き慣れない土地は意図せずして物騒なエリアに入り込む可能性があるので、辿り着くまで怖くてピリピリした。
 映画館周辺の雰囲気とは対照的に、ciema内部はなかなか良い雰囲気だった。カフェスペースにも壁一面の巨大スクリーンがついている。元々は複数スクリーンを持つ映画館だったところを改造したのかな? カフェスペースに併設された物販コーナーもなかなか楽しそう。悦楽共犯者のポスターやら、cochaeの手ぬぐいやら扱っていた。cochaeの手ぬぐいは凄く良い感じ。このシリーズで風呂敷が出たら全種類買い揃えるなあ。風呂敷出してくれないかなーcochae。
 上映スペースは入って左3分の1がソファとテーブル付きの安楽スペースになっていて、飲食がしやすいようになっていた。隣のカフェで注文すると、座席まで持ってきてくれるサービスもあるようだ(持ってきてもらっている客がいた)。うーん、こんな映画館が家の近所にあったら会員になって毎月通っていたと思う。こんな映画館があっていいなあ佐賀市民。しかし、「地獄の黙示録」上映時の客は私を含めて10人足らず。110席はあるスクリーンだったようなのだが……*5。平日だし、上映作品もアレだし、客が集まらない要素は多分にあったにしても大丈夫なのかciema。頑張れciema。また来るぞー。

*1:だってあんなにロードショー期間が短いと思わなかったんですもの……。

*2:思わぬ削られっぷりに最後まで観られるか心配になった。

*3:カーツ大佐の元にいる原住民の描かれ方があからさまに「無知蒙昧な未開人(※劇中一切言葉を話さない)」という感じで鼻についた。それから、船の乗員が黒人→ヒスパニックと死んで白人は生き残る、という流れに(意図せずして?)なっていて、chimadcさんの言説を思い出したりする。

*4:会長は80年代の最初の公開時に観ている世代だが「世紀の駄作」と言われた映画だと教えられる。ほほう。

*5:参考:niftyの映画スケジュール→http://movie.nifty.com/cs/cinema/details/80120/1.htm