ペット可賃貸物件と保護犬

 メーカーの賃貸物件に内見の依頼で電話してみる。ペット可物件を探していて、という話をすると電話の向こうの声のトーンが下がる。体重10kg前後、保護犬とこちらの条件を話すと、相手の声のトーンは更に下がった。

「体重だけじゃなくて、体長や体高も小型犬の目安ですね」

では引取りの目安にしたいので、体長や体高の目安を教えて欲しいと伝えると、「1cmオーバーしたら基準外ということではないし」と教えてくれない。更に「他の居住者が恐れを感じるような犬は困る」と言う。見た目が怖いという話か? と訊くと、「『自分や自分の犬が危害を加えられるのではないか』と他の居住者が恐れを抱くようなということだ」と言われる。抽象的過ぎて全然イメージできない。わからないので更に訊こうとすると、私の言葉に被せるように「フレンチブルドッグとかは10kgくらいあるが怖がられないし」等と言われる。

 何故かぶせて畳みかけられるような失礼な物言いをされるのか、非常に不愉快だったが、抑えて努めて明るい調子で「貸借は認められないということですか?」と訊くと、「認められるか認められないかというと認められないということですね」と言われる。駄目なら駄目と早く言えば良いのに、どうしてこんなに回りくどい言い方をするのだろう。不愉快なやっちゃな。

 しかし、保護犬だというと一律に不動産屋の反応は悪い。恐らく、どんな犬を連れてくるのか予想がつかないからなんだろう。必ず犬種を問われるしな。しかし、小型犬で穏やかな犬にほとんど会ったことがないので、ヨーキーだダックスだと言えば相手が安心するのか物凄く謎。

 犬の愛護意識高い人達の間では、パピーミル反対、保護犬を飼おうという流れがある。しかし持ち家でないと保護犬を飼うのは相当ハードルが高いと見た。こりゃ当分パピーミルは無くならないわな。

 こういうことがあってさ、と賃貸で猫飼いの同僚に愚痴ったところ、まあそういうものだ、という反応をされる。完全室内飼いの猫でも、賃貸契約時に写真提出、毎年狂犬病ワクチン接種済みと健康診断受診済みの証明書提出を求められていたとか。狂犬病ワクチンはともかく、健康診断受診を大家が求めてくるのは何の意味があったんだろう……。同僚もわからないらしい。

 ペット可物件を求めるということは、失礼な対応や個人の決定権に干渉されることを我慢しなければならないことらしいとうっすら理解する。不快だなあ。しかし我慢するしかない。