雨月物語 at CIEMA(佐賀)

 というわけで、観に行ってきた。
 1953年の映画。何しろ60年前の映画なので価値観や美的な感覚は「(作られた当時は)こういう風なんだー」と完全に古典を見る時の見方で鑑賞。

  • 宮木と若狭の話し言葉の美しさが印象的だった。宮木は下郎の妻とは思えぬ綺麗な話し方、若狭は声も美しかった。「鈴を転がすような声」とはまさにこのことだなあとしみじみ。
  • 声は美しいんだけど、若狭怖い! 街中で主人公に会ってフッと微笑む場面とか、怖くないはずの場面でも怖い! でも、死霊であることを明かした後、刀を振り回されて追い払われる若狭は「あはれ」だった。
  • 「逃げる女を男が追う」というキャッキャウフフは時代を超えて不変なんだろうかと、若狭と主人公のイチャイチャを見て考える。
  • 2人が死霊となって朽木屋敷に留まった理由を乳母が主人公に話す場面。乳母の台詞の節回しに独特の調子があって、聴き入ってしまう。
  • 娼婦になった藤兵衛の妻の逞しさと悲しさに胸を打たれる。

 「一発大当たりを考えず、目の前の細やかな幸せを大切に、地道に働きましょう」みたいなメッセージを発しているように受け取れる終わり方には何だかなーと思ったが、こういう映画があるんだなあと面白く観た。あと、私は京マチ子京唄子を混同していたことが判明*1

雨月物語 [DVD]

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*1:「この姫様が迫力満点のおかんとして『渡る世間は鬼ばかり』に出るようになるとは……。時間の流れは恐ろしいな」と思っていたら、渡鬼に出ていたのは京唄子だった。