犬飼い同士の会話

 犬を飼うと居住地の知り合いができる、コミュニティへの所属意識が高まる、というような話を聞いたことがある。私も多分に漏れずそうなった。犬の散歩をしていると、犬を連れている者同士、公園の管理者と挨拶を交わす機会ができる。こっちが望んでいなくても、犬同士の間で興味を示したり挨拶を交わしたりで、ほぼ逃れられない。

 こうして犬飼いネットワークが何となく形成されていくのだが、とても興味深いのは飼い主同士の会話。楽しく言葉は交わすのだけど、お互い基本的に自分の犬の話ばかりしている。「自分の犬はこうなの」と言えば、相手は「ウチの犬はこうよ」と返事をする。相手の話を掘り下げることがない。自分の飼い犬はどうだ、という話を延々平行線でしている。

 私は自分の事情を話す気はないし、相手もそうだからこのように平行線の会話になるんだろうか、という気もするし、互いに相手の犬には大して関心がない(関心があるのは自分の犬)からこうなるんだろうか、と思ったりもする。独特の会話スタイルで面白い。