セラピードッグって何だ・2

 近隣の警察犬訓練所が見学可とホームページで謳っていたので、見学に行くことにした。半年後くらいに犬を迎えたいと思っていること、しつけや不在時の預け先を検討していることなども事前に伝えた。

 約束の時間よりかなり早く着いたので、周囲を散策してみる。犬を入れるケージがびっしり詰まった車数台、何故か鳩小屋等、この訓練所の持ち物と思しきものが近くにあるが、動物の臭いが全くしない。犬の鳴き声も全くない。ここに犬いるの? と不安になるほど静まり返っている。が、呼び鈴を押した瞬間にけたたましく犬達が吠え出した。犬達と私を隔てる物はプレハブの壁一枚だったので、犬は私の気配に気づいていたんだろうけど、一切吠えなかったのだ。凄いなあ。

 年配の女性が出てきて対応してくれる。犬種は、と訊かれ、保護犬で迎えようと思っていること、サイズは中型犬以下で雑種になるだろうということを伝えると、女性のテンションが下がったのがわかった。保護犬は懐きにくい、子犬を選べ、奥でブルブル震えているようなのを同情心で引き出してはいけない、と手早く言われる。奥でブルブル震えているようなのを馴致するのは難しいから、私も貰うつもりはないです……。私達の脇にはテーブルと椅子があったが、立ち話を続ける女性。他の訓練所をやたらと紹介される。自分のところの客ではないと踏んだんだろうなあ。収穫だったのは以下の通り。

  • 同じ「警察犬訓練所」を名乗っていても、一般飼い主向け寄り・特殊技能養成寄りなど、訓練所によってカラーが異なる(ここは警察犬訓練が主体らしい)
  • JKCの会員ではあるが、JKCの活動には殆ど関わらないところもある(ここも会員だったが、JKCの出している家庭犬訓練資格(CD)のことを知らないと言っていた)

 会話は10分程度で終了。運動に出てきた数頭のシェパードとゴールデン・レトリバーを見ながら、準備した菓子折りを渡して帰路に就く。

 保護犬を迎えるというのは良い話のようだが、不動産屋も訓練所もいい顔をしない。どちらも私を「可哀そうな犬に同情して、リスクの高い選択をする人」と見なしていた。不動産屋は「保護犬活動に関わって、二頭以上犬を家に上げる」ことを懸念していたし*1、訓練所の人は気乗りしなさそうだった。戦前、洋犬(シェパード)が輸入された時にその訓練性能の高さがもてはやされたとか、和犬は訓練しても戦争に使役できるほどの訓練を入れるのは困難だったという話がある。保護犬を訓練しても、あまり訓練が入らなくて面白くないとかあるんだろうなあ。

日本犬の誕生

日本犬の誕生

 

  実家は代々「血統が何だか全然わからない」雑種を飼ってきた。性格も色々だった。今、実家で飼養されている犬は、人間の指示を理解しようとする意欲が高い犬である。この犬が誕生した経緯は「庭に迷い込んできた猟犬と、庭で飼育されていた母犬が交尾して」ということだった。ポインターかセッターを思わせるような柄の犬なので、猟犬(人との意思疎通に意欲を持つ犬)の血が入っているのが大きいのかなあ。やっぱり血は大事なのかしら。

 期待と不安が入り交じり、初めて訪問した訓練所で「うちは引き受けませんよ」という態度をあからさまに出されると少々凹む。緊張していたし、張り切ってもいた分だけ、しょんぼりする。保護犬はそんなに駄目なのかなあ。「殺されてしまう命を引き受ければ、犬は命が助かるし、私は安上がりだし、両者win-winだよね」ということしか、私に保護犬を選択する理由はない。飼うならちゃんとしつけを入れて飼おうと思っているが、意外と受け皿はないのかもしれない。他の訓練所も、ホームページに出ている犬は、一目で犬種が推察できる犬ばかりだし。まあめげずに別のところも問い合わせてみようと思っている。

*1:これはしないと説明したら、納得してくれたようだった。