記憶の混乱

 20年くらい前のことを夢で見た。私は20代前半で、新居に引っ越す寸前の状況にあった。捨てる物と新居に持っていく物の分別を一生懸命考えながら、干した洗濯物と布団をしまっていた。
 いつもの夢の感じとはまた別の「妙な現実感」がある夢だった。目覚めてからもまだ夢の世界が続いているようで、今がいつなのか、しばらく全く分からなかった。今自分は何歳で? 今自分は何処に住んでいて? 今自分は何の仕事をしていて? 周囲に誰がいて? 今日の予定は? と、1つ1つ確認してようやく見当識を取り戻す始末。見当識をこんなに長く失ったのは初めてのことで、結構怖かった。昨日のライヴのせいだ! 絶対昨日のライヴのせいだあぁぁ! と、ちょっと布団の中でゴロゴロしたりする。
 夢は別の人生を歩む自分を垣間見る機会なんだ、という考え方があるそうだけど、どこかで本当にあんな事を考えながら生活している「私」がいるのかもしれない。そう思うのはちょっとロマンに過ぎるが、結構楽しい。