「銃・病原菌・鉄」ジャレド・ダイアモンド著(草思社文庫)

 先日、中島みゆきのことでAと連絡を取った時に教えてもらい、通勤中の楽しみとして読んだ本。10年前のベストセラーということだったが、非常に刺激的で面白かった。一番興奮を覚えたのは、筆者が主張の裏付けとなるデータを集める方法論のところ。文化人類学とか考古学、フィールドワーク研究の現代に役立つ研究的意義を初めてちゃんと知ったような気がする。フィールドワーク研究のゼミにお邪魔した時「草の根ウルルン滞在記……」くらいの感想しか抱けなかった自分の頭をはたいて、説明してやりたい。大学の時、(学際的な研究と教育を掲げた学部だったので)様々な研究分野の先生が話す大教室授業で聴いた話に同様の内容があったことを思い出し、ちょっと身をよじったり。あの時もっとマトモに聴いていればなあ……。勿体無いことをしたもんだ。あの頃も私はアホだった。
 しかし、「家畜を飼うことによって伝染病が生まれ続ける」というのが人類の歴史で繰り返されてきたことならば、今中国で流行りつつあるH7N9型鳥インフルエンザの誕生は必然なんだろうなあと思ったりなんだり。WHOが鳥を市場に出すなとか豚と鶏を一緒に飼うなとか色々対策を指導しているらしいが、どうなるかな。決して他人事じゃないけど。