「瀬戸内の民俗誌」「瀬戸内の被差別部落」沖浦和光

 「広島を知ろう」キャンペーンの一環で手を伸ばした本。瀬戸内海でみられたという家船、島しょ部の文化を知りたくて読んでみた。

 島しょ部の古代からの歴史、歴代の権力との関係について記述された本。島が農地には向かず、漁や海上輸送や警護を生計としてきたために常民として扱われてこなかったことにページが多く割かれている。家船の話は「家船を見てきた」人の報告で出てくるだけで、ページ数も非常に少ない。

 何も考えずに「島ってどんな暮らし方だったんだろう?」と思って手に取ったが、そうだった、農民以外の第一次産業従事者は貶められてきた歴史があった。自分の浅はかさと、息苦しさで暗い気持ちになる。

 「瀬戸内の民俗誌」を読み終わって「瀬戸内の被差別部落」を1/3くらい読んだところで、私が読みたかったのは、大正~昭和の家船当事者視点の報告や島しょ部で暮らしていた人の報告だったのだな、と気がついた。誰かこの辺りのフィールドワークやってないのか。やってそうだけどな。もう少し探してみる。