初対面

 1年近く前に実家の犬が亡くなり、後継としてやってきた犬に初めて会う。大きくて力が強い、網戸を破いた、柱をかじった等々聞いていたので、どんな犬かと思ったら、ラブラドールを一回り小さくしたサイズの犬がいた。ボーダーコリーの柄で短めの口吻、胴体の後ろ半分はダルメシアンのような斑が入っている。そのザ・雑種という不細工な風貌に思わず笑ってしまう。そして、まだ1歳になるかならないかの若い犬なのに、溌剌とした快活さが全くない。母を見てもはしゃぐ様子がない。
 「おすわり」「ふせ」は習得しているというので、私も挑戦してみる。「おすわり」は決まったが、「ふせ」と言ったらビシッと力いっぱいお手をされる。「あ、お手も教えていたわ」と母。数回挑戦の後ようやく決まる。ボールもあったので投げてみる。レトリーブしてくれるもののピーピー鼻を鳴らすので、何が不満なのかと思ったら「ボールを持ち帰ったら餌やってる」と母。ああそれで……。しかし、こういう慎ましやかな要求吠えをする犬を初めて見た。フードをつまんで前に出すと、私の指を噛まずに上手に食べる。ソフトマウスかい君。
 大変おとなしいし、はしゃいで飛びついて人を転倒させるような事故は起こしそうにない*1、話に聞いていたよりもずっと良い子の犬だなあと感心。一方で、若さが感じられないのが気になる。飛びつかないのは良いが、この歳からこんなに落ち着いていて君はどうするんだ?と説教したくなるような感じ。一体犬に何を期待しているのか私。

*1:子どもや犬が怖い人にとって、犬の飛びつきは怖いと思う。