DIALOGUES#9 倉地久美夫・谷本仰 at ケイトミュージックカフェ(西小倉)

 土曜日は仕事の日なので、何をどう頑張っても開演時間を2分過ぎたくらいにしか現地到着できないことが判明。まあ開演時間きっかりに始まることはまずないので、大丈夫でしょうと判断していたのだけど、実際着いたら(開演時間10分後くらい)始まっていた。早っ! 客も既にみちっと詰まっていた。客の集まりも早っ!
 受付ではチケットと共にスタンプカードを渡される。なんとDIALOGUESに来るとスタンプが貰えるらしい。ははは。やはり10個ためたらサービス券とか*1もらえるんですかね。


 遅れたせいで最初の曲は半分以上聴き逃してしまったのだけど、カッコいい曲でした*2。その後も曲の合間に入る短い叫び*3やクルクルと変わる声色で、ハッと頭が妙な覚醒をする。舞台の場面転換やシリーズコントの別ネタ転換時に近いけど、もっと曖昧な感じ。一つの夢を見ている時に、別の夢やノイズが差し込まれて「あ、コレ夢か、」と思ったらまた別の夢の中にいる時の感覚に最も近い。この他「どれどれ、みせて、み、そ」の、言葉が音にほぐされてまた言葉に戻っていくのも頭がムズムズしましたわ。彼の言葉のリズムは掴めんけど、凄く面白かった。バイオリンが合わされば、流石オケで主線をはる楽器、言葉の威力に負けてません。涙ぐんだり鳥肌たったりして*4、ちょっと大変。
 休憩を挟むことになって時計を見ると、もう1時間経っている! えっ、そんなに経ってたの!? と大変驚く。いくら頭をひねっても、そんなに時間が経ったようには思えなかった。


 後半は間仕切の後ろからホワイトボードと長机が登場。名前も貼ってあるし………ははは、対談だって。倉地さん視線上げないし、ささやかな雑学披露するし*5、客席の写真を撮った後で「でも、いつもちゃんと写ってないんですよ…」とか言うし、客席を撮るために購入したらしいデジカメはメモリ不足で撮れないし、何だかゆる〜くグダグダ。面白いけど。ははは。
 やがて倉地さんが絵を描きながら話すので、谷本さんがその間BGMを演奏することに。最初はゆる〜い雰囲気のまま進んでいたのだが、BGMがBGMの様相ではなくなっていくにしたがって、喋りもリズムを持ち、言葉は音に乗り、やがて………この流れは白眉で、観ているこっちがドキドキした。後半はそのまま緊張感溢れる怒涛の流れに。最後は「集え能古島の夏」でシメ。私が初めて倉地さんを観た時に覚えていた曲はこれだったのだなあと思った。あの時はもっとのどかでにこやかな曲だったように記憶しているのだが、まるで印象が違う。身体より脳がムズムズして、すげーなすげーな、面白れえなあああって頭だけが興奮している感じ。後半1時間も瞬く間に過ぎた。ホントに2時間経ったのかピンとこなくて、 「来てまたすぐ帰る」ような気さえしましたわ。あっという間の2時間だった。
 
 4〜5年前に初めて倉地さんを観た時妙にインパクトが強くて「何だこの人?」と思った。今回この企画を観に行こうと決めたのは、あの時の「何だろう?」という感じを明らかにしようと思ってだったのだけど、今回観てもなんかやっぱり「何だこの人?」のままだった。全体的な像が結べない・凄く面白かったのに興奮しない、妙な感じ。もしかしてこれはスーパーデラックス幕の内弁当的構成*6のためか? 自分の手元に残った印象の整理がつかない、不思議なライヴだった。

*1:何のだ?

*2:その後いただいた情報によれば、「エチュード」という倉地さんの曲らしい。

*3:? 「アサヒ!」みたいの。

*4:鳥肌は音量に対する生理的な反応が含まれているはずなので、情緒的な反応の結果であると普段は考えないようにしているのだけど。

*5:でも確かに野菜の味は薄くなっていると思う。実家では祖父の自家製野菜を常食していて、一人暮らしを始めてから八百屋で野菜を買った時、その味気なさに驚いたことがある。

*6:今回のDIALOGUESの方針?だったそうな。ライヴ中に倉地・谷本両氏が言っていた。そのココロは「美味しいところを少しずつ・たくさん」らしい。