髪切り

 ドネーションのために髪を伸ばしているので、現在髪切りは前髪を3カ月に一度、他の髪を半年に一度揃える程度に切るだけになっている。美容師のカットの技術を気にする必要が無いので、思い切って美容院ジプシーをすることにした。洒落た造りのサロンや、気になるスパメニューのあるサロンに行ってみるのだ。

 今回は一棟丸々様々なサロンが入っているビルの中にあるサロンに行ってみた。ネイル、脱毛、痩身、ヨガスタジオに御洒落小物。その中にあるヘアサロンで、外からは仲が見えない店舗である。美容院があるフロアにうっすら漂う安いトイレ洗剤の匂いが物悲しいし、何か妙にゴシックな内装*1が落ち着かない。しかし美容師の物腰は柔らかく、腕も良さそうな感じ、わからんけど。スパは一部機械を導入しており、揉まれ心地はあまり良くなかった。カットはまた行くかもしれない。

*1:ボッティチェリの「受胎告知」がアクセントクロスになっていた。

セイレーン

 昨日から二日連続で雨。雨の中散歩に行くと、雨に濡れて泥がはねた犬を拭く手間がかかるし、散歩中は合羽が暑くて不快である。できるだけ雨の切れ間を狙って散歩に行くようにしている。雨雲レーダーとにらめっこして急いで出ても、パラつく雨にやきもきする。十分な運動量は確保できずとも、排尿排便は済ませてやりたい。やきもきしながら、排泄しそうでしない犬を見守ることになる。

 地面のにおいを嗅いでいた犬が排便態勢に入りそうになるかと思ったら、急に後方を振り返って凝視した。遠くから女の歌声がする。姿はなかなか見えないが歌声は近づいてくるので、ここから結構距離がある様子。犬は凝視したまま微動だにしない。夜明け早々の時間帯に大きな歌声、修行者か?

 犬と一緒に歌声の方向を見守っていると、女子高生っぽい女性がランニングしながら現れた。手に持ったスマホで音楽を流しながら、その音楽に合わせて歌っている。熱唱である。犬と一人に見守られていても、女は歌を止めない。歌いながらそのまま私たちの前を通り過ぎて行った。

 女が去った後、犬が私の顔を見た。あれは何なんだ、と犬の顔に書いてあった。犬よ、色々いるんだよ。そして排便のタイミングは完全に逸した。

いや、生んでないし

 犬を訓練所に一日預かりしてもらっていたので、引き取りに行く。普段私を見ると逃げる犬が、一日ぶりに会ったら一瞬パッと明るい表情をした。すると訓練士が「『母ちゃーん』ってねえ」と、犬の心情を代弁するようなことを言った。

 母ちゃんじゃねえよ。

 同僚からも「〇〇(犬の名前)ママですもんね」等と言われるし、犬飼いの先輩からも「自分の子どものような位置づけになるよ」と言われているのだが、物凄く違和感がある。犬なんか生んでないし、母親のような気持ちで「庇護する対象」として犬を捉えている感覚もない。世話はするけど、それは犬との契約なのでしているという感じ。愛しくて可愛くてたまらなくて、という感覚は全然ないんだよなあ。犬との関係性ができてきたら、そのうちわかるようになるかな。……なるかなあ?

生き物万歳

 盆休みと私用で三週間休みになっていた日雇い仕事が明日から始まるので、犬をショートステイに預けた。日雇い仕事は朝が早く帰りも遅いので朝の散歩に行けないし、犬を長時間家に単独で置いておくのは良くないと判断してのこと。これから日雇い仕事の時は毎回預けるつもりでいる。初めてのステイ先に犬は最初こそ怯えていたもののすぐに落ち着きを取り戻し、訓練士さんと一緒に門の先の施設へ姿を消した。

 何となく呆けた気分で帰宅し、普段犬がいる時は掃除しにくいバリケンの中に掃除機をかけたり、諸々片付ける。そして、何とも寂しい。こんなにポカンと穴が開いたような気持ちになるとは思わなかった。犬は私がいる時はずっとバリケンの中にいるし、出かけても帰宅しても無反応だし全然吠えないしで、超絶大人しくて手のかからない犬である。犬飼い始めた実感があまり持てんな、と思うくらい静かな犬なのだ。そんな犬でもいなくなったらこのような気持ちになるのだから、普通の賑やかな犬がいなくなったら、どれだけ寂しいことだろう。帰宅を喜び、一緒に何かしようと待ちかまえ、関わればはしゃいで跳ね回る。そんな犬がいなくなってしまった飼い主がペットロスに陥るのは、当然のことのように思える。自分以外の生き物が家にいることって凄いことだ。こんなに自分に影響が出るものだとは思わなかった。

 

成犬の保護犬を迎える選択肢

 犬を飼おうと思った時、成犬の保護犬を迎える選択肢は大いにありだと昨日の記事に書いた。今日はその理由について書いていこうと思う。

hamahn.hatenablog.jp

 成犬の保護犬と聞くと、何だか魅力半減かもしれない。やっぱり子犬が可愛い、子犬から飼わないとなつかないんでしょ? と思う人も多いだろう。実際、子犬の方が貰い手がつきやすい傾向は顕著に見て取れるし。しかし、私は声を大にして言いたい。成犬はいい! 

まず、子犬より世話が断然楽

 子犬は1日に数回排泄する。しかも、トイレのしつけをつけるまではどこへでも垂れ流しである。今片付けたばかりなのに、すぐその辺に粗相したりする。場所が狭ければうんこを踏んづけてうんこまみれにも平気でなる。体調を崩しやすいのですぐ下痢をする。散歩の仕方も知らないので、首輪に慣れるところから教えなければならない。生活の基本的なことだけでもこれだけ手がかかるのに、(知らないから)噛んではいけないものを噛むし、暇に耐えられないのですぐいたずらをする。

 食事排泄運動健康管理に加えて、飽きないように相手をしてやり、社交性を身につけさせるために他の犬と触れ合う機会を作り*1……って、人間の子ども並みに手がかかるのだ。成犬はこれまでの経験で散歩の仕方も、他の犬や人間との付き合い方もわかっているし、体力があるので体調もそう簡単に崩れない。子犬と比べると、成犬は全然手間がかからないのだ。

良い犬が欲しい人も、成犬を選択肢に

 実のところ私は「どの命も同じ大切な命だから」という生命尊重の理由で保護犬を選んでいない。気質の難しい犬は最初から選択肢に入れていない。私は運動(散歩)さえ十分にさせておけば、散歩以外は仕事をする私の傍らで寝そべって過ごすような犬が良かった。そして、歩こうと思えば延々4-5時間一緒に歩き回れるような体力があり、誰にでも穏やかに対応できる犬が良かった。

 それで、私の犬選びの条件は

  • 神経質でないこと(ひどい怖がりでないこと)
  • 穏やかであること
  • 人と関わる意欲があること
  • 健康であること

になった。あまりはしゃいで跳ね回ったり、ベロベロ舐め回したり、ワンワン鳴いたりするテンションの高い犬も疲れるし、私が犬の要求に応えきれずお互い不幸になることが目に見えたので避けたかった。……今こうして書き出してみると結構注文が多いな。しかし、成犬ならもう性格が固まっているのでこういう犬を選び出すことができる。自分がどういう犬を飼いたいのか、どういう暮らし方を犬としたいのか、どのビジョンが明確ならば自分の希望に合った犬は必ず見つかると思う。どういう犬が欲しいかではなくて、犬との暮らし方のビジョンがないと、成犬は選びにくいと言える。

保護犬は保護犬団体から迎える

 愛護センターから引き取るという手もあるが、私は保護犬団体から迎えることを断然勧める。保護犬団体では散歩の仕方を犬に教えたり、余裕があればオスワリやマテ等、基本的で必要な指示の指導も入れておいてくれたりする。また、どういう性質の犬で、何処からどういう来し方でここへ来たかも把握しているので、こちらの条件を伝えると条件に合致した犬を選びやすい。その中には犬の社交性の評価も含まれるし、見込みがあると判断すれば社交性を高めるために他の犬とのふれあい機会も増やしてくれる。

というわけで

 成犬の保護犬を引き取るという選択肢は割と悪くない。というか断然あり。これを書いている今は成犬の保護犬を引き取って二週間目なのだが、犬は予想以上に手がかからず、穏やかに過ごしている。制止も入るし、他の犬を見てやたらに怖がったり興奮したりもないので、歴代の実家の犬より手がかからないくらいである。まあ「手がかからなきゃそれで良いのか」という批判的な見方もあるが、子犬だったら私はとても飼いきれなかっただろう。私のニーズに合った、良い気質の犬に当たったと思っている。

 

 

*1:これをしないとやたら挑戦的な成犬になったりして、散歩の時に苦労する。

保護犬団体のこと

 飼い始めた犬は某保護犬団体から引き取った保護犬である。譲渡時の約束で、困ったことが起こった時は相談すること、譲渡1か月後、3か月後、半年後に状況報告&写真を送ることという約束をさせられた。物凄く面倒臭い&犬の様子について言葉が私の中から沸き上がって来るので、報告と記録を兼ねて犬のことを書く専門のSNS利用を始めた。保護犬団体にブログの存在を報告して、改まって詳細を報告をしなくても済むようにしようという算段である。

はじめに

 さて、その保護犬団体のことである。SEKAI NO OWARIとコラボして幕張メッセで大々的なイベントを打ったり、寄付金を1億円余りも集めたり、やることの派手な団体である。一方で、犬の管理が杜撰だと内部告発されたり、犬を逃がしてしまったり、週刊新潮に叩かれたり動物愛護団体から告発されたり、色々ネガティヴな面も報告されている団体である。しかし、私は「犬を引き取るならここから」と決めていた。本拠地が広島にありアクセスが良かったし、告発されたことや記事になったことにちゃんと対応しようとしているように見えたのも理由の1つだ*1。それから、犬を引き取る際、住居の構造や収入まで報告させ、家屋調査と称して家の中まで見せるよう要求する団体は、規模の大小に関係なく結構多い。こういう大規模組織なら、(漏洩や流出があった時には叩かれるので)個人情報の流出リスクは低いだろうと思ったのだ。独居世帯の引き取りを認めていることも大きかった*2

対応が手厚かった

 犬を探して団体の本部にも支部にも行ってみたことがあり、支部の人と顔見知りになった。この人が物凄く親切だった。私の探している犬の条件を覚えていてくれて、「今条件に合致する犬が本部に入ってきている」と連絡をくれたり、実際に犬を選ぶ時に「本部に行く日だから」と付き添ってくれたり。そして、アクセスの悪い本部へ引き取りに行くのは大変だろうからと、アクセスの良い支部へ犬を移送しておいてくれたりもした。私のところへ来るとなると(長閑な山奥の)本部とは随分住環境が異なるので、どうなるか随分心配したのだけど、支部で多少馴らしておいてくれたのもありがたかった。迎え入れの前には家屋調査があったが、コロナ予防の観点から動画のみでOKだった。迎え入れにあたって、バリケンやブラシ等、用意しなければならない物品の相談にも丁寧に乗ってくれた。フードは今食べているものをプレゼントでつけてくれたので、二週間は購入の必要がなかった*3。到着してからの犬の破壊行為も、メールで応対してくれるし、まあ懇切丁寧。ここまでやってくれるのか、と正直思った。私は無償のサービスを良いことだと思っていないので*4、次に切り替えて行こうと思ってはいるけど。

 成犬の保護犬を迎える選択肢は大いにありだと思うし(これは別日の記事で書く)、犬を探すための場所としてのこの保護犬団体は凄く良かった。他の人から相談されたら、私は多分勧める。

 

*1:告発で総崩れになってしまう愛護団体は結構ある。傍で見ているだけの私がそう感じるのだから、実際はもっと多いだろう。

*2:「まさかの時に世話をする人がいなくなってしまうから」と、独居世帯お断りの団体も結構多いのだ。

*3:フード会社が無償でフードを提供する代わりに顧客情報を渡す契約をさせられた。

*4:無償のサービスを要求されることが私自身多かったからだと思う。これが常態化すると現場は疲弊するので、全然良くないと思う。