耽美の説得力

 今週、先週とBUCK-TICKYouTubeプレミア配信を見ている。閲覧数は先週も今週も12000人前後。サカナクションYouTubeプレミア配信が7万人くらいだったので、「ヴィジュアルバンドはコアなファンに支えられている」という言説にリアリティを感じる。

 しかし観ていると、なんかしみじみ凄いなと思う。音楽は結構節操ないというか、時折露骨にダサいし、歌謡曲のツボも突いて来るし、しかし「面白がって演ってるんだろうなあ」という感じがあって、厭らしさや惨めたらしさがない。そして、何といってもボーカルの櫻井さんが凄い。初期の頃から考えると、飛躍的に歌唱力も表現力も増した。自分の役割と魅せ方もよくわかっていて、割り切って振り切っている感がある。黒レースは勿論のこと、ガーターベルトや網タイツをチラ見せして、それが耽美のアイコンとして機能する50代男性が一体どのくらいいるというのか。存在が貴重というより他ない。彼が参考にしたというピーター・マーフィーだって、耽美を演じるカッパになってしまった。ロバート・スミスだって今や白塗りのデブである。櫻井さんも耽美を演じる面白さが当然あるんだけど、「耽美!」と、見ている者を黙らせる迫力と説得力は今や唯一無比ではないか。希少な歳の取り方してるなーと、見る度毎回思う。