ヒグチユウコ展「CIRCUS」 at 奥田玄宋・小由女美術館

 実家周辺に被害なしということで、トレッタ三次まで野菜を買いに行った。フラフラしていたら、この展覧会のポスターが目に留まり、一目で気に入る。絶対私が好きなタイプだ! ということで、飛び込みで入った。

 全然知らなかったのだが、グッチや資生堂ともコラボしており、何だか物凄く人気のある画家さんらしい。こんな僻地の美術館なのに「来場者一万人突破!」と看板が出ている。会場周辺に設置された撮影コーナーでは、大人も子どもも写真を撮っていた。博物誌を思わせる緻密な線画、ヒエロニムス・ボスを思わせる*1、グロテスクでユーモラスなキャラクター達。全般的にグロ可愛くて、耽美な画風。うん、やっぱり自分の好みのタイプだったわ。凝視していると絵の世界に吸い込まれていくような、久しぶりに現実以外の世界に入り込んでいるような気分で実に楽しい。立体もアレコレ作りこまれていて可愛かったが、私は絵の方が好きだった。あと、何というか「わかりやすい」展覧会だった。これらの作品のバックにあるものが予想できて安心して楽しめるというか。今はこういうのが良いのかなあ。

 1時間半くらい滞在して、ロビーに戻ってきたら11時過ぎ。なんだか結構混んでた。そして、物販で扱っていた「きのこ会議」のTシャツが個人的に大ヒットする*2。これ、すっげー可愛い! 着る、私絶対着る!! どのサイズも丈が全部長めなので、使い勝手も良さそう。野菜を買いに来たこともすっかり忘れ、結構大盤振る舞いして帰路。野菜は何も買わなかった*3。お買い物あるあるですな。帰る道々、最近Tシャツが似合わなくなっていること*4や、トーンの暗いベージュの服を着ると凄く年寄りくさく見えることを思い出し、どんどん気分が暗くなってくる。でもいい! 着る! Tシャツ着て老けて見えるなら、首周りに明るいスカーフ巻いてやるわい。ジーンズで若作りっぽくなるなら、別のボトムスと組み合わせてやるわい。どうにかなるわい! そして帰宅して早速試着し、前後を交互に見て満足。やっぱり買って良かった。

奥田玄宋・小由女美術館というところ

 奥田玄宋さんが三次出身ということで、地元名士の記念館的意味合いの美術館なんだろう。彼の展示(常設展)は、時期に合わせて紅葉を描いた絵の展示が中心で、物凄く赤が綺麗だった。赤ってこんなに色々な色があるんだよなあとしみじみする。が、特別展と常設展の関連性が全然見えない。次回の特別展は安西水丸だし、次はキスリングらしい。キスリングはともかく、ヒグチユウコと安西水丸はなあ。でも、それで良いのだと思う。美術館本体と関連のある展示しか行わないなら、こんな僻地の小さな美術館はあっという間に行き詰ってしまう。地方で文化施設を運営することは非常に難しい。ましてや三次は地の利がとても悪いので、更に不利だろう。是非特別展でガンガン稼いで、美術館を存続していただきたい。考えてみれば三次、こんな僻地なのに美術館も風土記の丘も、(開設当初から赤字確実と見なされてきた)もののけミュージアムもあって、随分文化方面に攻める御土地柄だよなあ。市の財政は絶対良くないだろうに。今住んでいるところは、人口は増加しているんだけど美術館は全然機能していない文化不毛の地*5なので、正直羨ましい。三次には意欲的なキュレーターがいるんだろうな。定期的にチェックしようと思う。あと(潰れないうちに)早くもののけミュージアムにも行こう。

*1:実際、ヒエロニムス・ボス(とブリューゲル)の絵をカバーした画集を出してた。

BABEL Higuchi Yuko Artworks 通常版

BABEL Higuchi Yuko Artworks 通常版

 

 

*2:夢野久作原作の「きのこ会議」に彼女が挿絵をつけたもの。この短編はオチも最高だった。

*3:「煮沢庵にぎり」という、さいの目に切った沢庵が混ぜ込んであるおにぎりだけ買った。「肉体労働している時に食べると凄く美味しい」という感じの味だった。

*4:TシャツとGパンでいると、「若作りした痛々しい人」みたいになる。

*5:特別展は一年前の情報から更新されておらず、なんか地元の学校の絵画を集めた展覧会とかやってるようだった。