休日

 午前中は髪切り、午後は映画、夜は広島市内に一泊というデラックス休日スケジュール。

私の中の偏見

 髪を切らないとそろそろ限界なので、良さげな美容院をネットで見繕って初訪問。淡いピンクの外装でファンシーな店名、天使の羽を模したような一筆書のイラストが店名の脇に添えてある。

 中に入ると、しみけん似の男性スタッフと、ガチムチマッチョな男性スタッフがいた。外装とスタッフのギャップに戸惑いまくるわたくし。……チャラいし怖いし、何故そんなに日に焼けているのか。で、そんな外見なのに、シャンプーやカットで作業を切り替わる時の声掛け「お疲れ様でした」「承知しました」等が鼻にかかった裏声。語尾も上がる。「お疲れ様でした☆」って、語尾に星がついてるのが見える感じ。おふたり、ゲイのカップルなのかなあ……。

 しかし冷静に考えれば、チャラかったりガチムチマッチョだったりする人がファンシーな佇まいのお店を経営してたっていいし、裏声出したっていい。ゲイかもしれないし、別にゲイじゃなくてもいい。その辺に戸惑うのは私の偏見だよなあ。カットが上手なら何だって良いじゃないの。カットの仕上がりは普通だけど。裾がスッカスカになって、「襟足延ばしてるヤンキーの子ども」みたいになった*1

 

東京裁判」デジタルリマスター版

 私以外の観客は、明らかに60を越えている高年世代ばかりだった。午前中の髪切りで髪切りの兄ちゃんにシベリア抑留の話をしたら、シベリア抑留を全然知らなかったし、こんなに歴史を関心がなくて大丈夫か日本の若者。と思ったが、考えてみれば今日は平日なので、そりゃ若者は来ないわな。

 裁判に挙げられた戦中の出来事をおさらいした後で、その出来事に関する裁判のやり取りを見せるという形式。この形式はわかりやすいけど時間がかかるからか、ナレーター佐藤慶が要点をまとめて話してしまうことが多く、被告達の肉声を聞く機会が少ないのが惜しかった。やり取りを聞きたいのに! と思うが、その分出来事の解説時間を削れば、何が議論されているのかわからないことも出てくるだろうから、痛し痒しですな。

 特に面白かったのは、裁く連合国側の思惑も様々で、それぞれの思惑で駆け引きが行われていたこと。天皇の戦争責任を問いたいオーストラリアと、免責にしたいアメリカ。因果応報・見せしめとして早急に処刑したいフィリピンと、あくまで「裁判」として、(表面的であったとしても)公正な態度と手続きを取りたい欧米諸国。そして、人種差別の雰囲気を嗅ぎ取る判事も。そして被告達の言い分が「侵略戦争を始めるつもりはなかった、米国から(補給路を断たれる)無理難題を押し付けられて、生存のためやむなく東南アジアに進出したのだ」という論調で一貫しているのも凄い。まあ認められないわな、それは。という感じ。

 時折歴史修正主義者が「東京裁判は連合国からの押し付け裁判だ。レイシズムが背景にあった。インドの判事はそれをわかっていて、被告を無罪と言ったのだ」と、いう言説を聞くことがあるが、無罪だと言ったのは、「国際法に反した罪で裁くのがこの裁判のはずなのに、被告達が問われている罪は彼らがその行為をした時には規定がなかったから無罪。でも、彼らの行為を無罪とするわけではない」というロジックだったと知る。法律は厳しいな(だが、それが良い)。

  前半ウトウトしてしまって、「大川周明東條英機の頭を叩く」有名なシーンを見逃した。あれは絶対押さえておきたかったのに! でも、あのシーン見たさにもう一度4時間半の映画を見るかと言えば、そこまではしなくても良い。

 

 

*1:髪を伸ばしている最中にカットしてもらうとよくある仕上がり。