「股間」江本純子

股間

股間

 図書館で物色している時に偶然見つけて借りてきた。表紙がコレなために電車内で読めないので、スケジュール帳のカバーを外して無理矢理かぶせて読んだ。そして表紙はコレだが(しつこい)、身も蓋もない恋愛遍歴と演劇生活について描かれた、妙な清々しさのある本だった。愛にも仕事にも欲望剥き出しにして、ひた走る主人公の姿が凄く気持ち良かったというか。ノンケの女の子に言い寄るのってかなりハードルが高いと思うんだけど、そういうグズグズした葛藤や逡巡はない。だって欲しいんだもん! で一途に求める姿は実にシンプルで爽快だった。
 最近色々考え過ぎなのか欲がなくなってきているのか、単にカッコつけてるのか、欲望に従って即行動することが減っている。最近の私の愛の在り方は「見ているだけで幸せなんだ」が基本姿勢なんだけど、こういう本を読むとそれはやっぱりつまらないと思う。しかし行動化するとその後の事態の収拾が大変なことになるのは目に見えている。いや、自分の起こした事態の収拾に奔走するのは当然のことで、それを面倒くさがっている辺りがもう無精の表れ、今の自分の駄目なところなんじゃないかとか、こういうことをグルグル考えているだけで終わる辺りがもっと駄目なところなんじゃないかとか、まあ延々考え込む。そして結論は出ずに寝る。