ちょっと同意、ちょっと違うかな、みたいな(覚書)

介護現場、56%が暴力被害 セクハラも4割共同通信
 ホームヘルパー介護施設職員など介護現場で働く人を対象に八戸大学の篠崎良勝専任講師が実施したアンケートで、利用者や家族から、精神的な面も含め暴力を受けたとの回答が56%、セクハラ(性的嫌がらせ)を経験したとの回答が42%に上ったことが13日、分かった。
 アンケートは昨年6月から9月にかけて、不当な言動などで介護従事者の人権や職域を侵害する「ケア・ハラスメント」(ケアハラ)の実態を探るため、10都道県の計500人を対象に実施。286人から回答を得た。
 暴力のケアハラを受けたのは、自宅訪問するヘルパーの45%に対し、特別養護老人ホームなど介護施設の職員は78%に上った。全体では実際に殴られたのが35%、言葉によるものが18%だった。

 私は高齢者施設で働いていて、利用者の方から暴力とかセクハラを実際に受けたことはある。一番驚いたのは女性の利用者の方にメガネを握り潰された時だった。どんだけ力があるっちゅーねん。耐えられないくらい不快だと感じたセクハラもある。ただ、ここで出てくる「ケアハラ(暴力)」や「セクハラ」を普通の世間の文脈で捉えたらどうしようもないと思う節もあるのだ。それは介護の現場の場合、脳の障害(痴呆含む)の問題が入ってくるので、介護を受ける側の理解の悪さ・脱抑制が原因で暴力やセクハラが生じていると見られるケースが多々あるから。
 例えば「トイレに行きますよ」と言われている意味がわからなければ、介護される側にとって介護者は「なんかよくわからないけど私のスカートをまくって下着を下ろそうとする奴」という理解になってしまう。介護される側の必死の抵抗の結果が、叩く・かみつく・つねる・ひっかく、といった「暴力」になってしまうというケースがちょくちょくある*1。だけど現場の職員はそのことをわかっていて働いているので、叩かれたりしても意外とあっけらかんとしているように思う。少なくとも、私の働いているところはそんな感じがある*2。多分精神科や知的障害者の施設では古くからある問題なんだろうし。今回の引用記事のように、アンケート調査を行えば「ハラスメント」経験率が高い割合で出てくるのは確実だが、ハラスメント発生のデータだけでは不十分な考察しかできないだろうな、と思う。
 わかっていても、叩かれればやっぱり痛いし不快な体験をするのは間違いないので、介護者の置かれたこの状況が良いとは思わないが、「セクハラ」や「ケアハラ」を問題視してどうにかしようと思うより、「セクハラやケアハラを受けざるを得ない」仕事なので、その分給料を上げる等の労働条件を改善する方向で考える方が現実的な気がする。全然儲からないとか介護保険は破綻寸前とか言われる介護の業界では、介護労働者の待遇改善さえ非現実的な案かもしれないが、今回出されたデータが、介護労働者の労働条件改善に繋がって欲しいと願っている。介護業界って心身ともに半端なくハードなのに、給料安いから。
 あと、「高齢者の性」はまだ私にはよくわからない。これはもう少し勉強が必要。
自分用参考URL↓
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/mixnews/20051207ok01.htm

*1:だから特別養護老人ホームの職員に「ケアハラ」を受けたという回答が多いのは凄くよくわかる。在宅でのケアが難しいほど痴呆が進んでしまっているケースが特別養護老人ホームには多いから。

*2:むしろホームヘルパーの方が「ケアハラ」「セクハラ」の問題が生じた場合には深刻な気がする。ホームヘルパーの方が介護者の家の中で「逃げ場がない」感があるだろうし、特定の人と関わる時間が長い分相手との関係も強くなるから。