ゾッとするような根深さ

作品見直し、歌手グループ名変更…全米デモがエンタメ界にも波及 (産経新聞

 米中西部ミネソタ州の黒人男性暴行死事件を受けた抗議デモが広がる中、エンターテインメント業界も作品の見直しなどの影響が出ている。奴隷制度が残る南北戦争時の米南部を舞台にした映画「風と共に去りぬ」(1939年)の一時配信停止や、警察を扱ったテレビ番組の中止などが相次ぎ、抗議活動への連帯を示す動きが広まっている。

 「人種への偏見が含まれている」。米動画配信サービス「HBOマックス」が9日に発表した「風と共に去りぬ」の配信停止。今後、歴史的背景や差別表現への批判を追記した上で配信を再開し、停止は一時的な措置だが、歴史的文脈を含む古典映画への対応には賛否が噴出した。メディア界では「現代の価値観に合わせ、一時停止は相当」との評価が多い一方、女性司会者のメーガン・ケリー氏は「女性を性的対象とする作品もすべて停止するのか。私たちのもとには、いくつの作品が残るだろうか」と反発した。(後略)

 90年代くらいまでのマンガは同性愛を「禁断の愛」「変態」「異常」として取り上げたり、笑いのネタにしていた。そして、定番ネタだった。先日「僕の地球を守って」全巻無料配信を読んでいたら、その辺のネタがバンバンぶつかってくるので、出てくる度に何とも言われぬ気持になった。というかちょっと不快だった。ホント時代は変わったよなあ。

ぼくの地球を守って 1 (白泉社文庫)

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 今、同性愛を異常性愛として取り上げている過去作品を注意書きなしで見ても「これは過去の価値観で、今は違う」と割り切って読める*1。でも、今回の「風と共に去りぬ」配信停止措置は、米国の人種差別問題が全然過去のものになっていないことを伺わせてゾッとする。だって「風と共に去りぬ」だよ? 第二次世界大戦前に作られた、しかも南北戦争時代の価値観を描いた作品なのに、21世紀になっても大人たちの価値観を刺激するというのはなあ。人種差別問題の根深さが推察されるよなあ。その根深さと悲しさに、「ムーンライト」を思い出したりする*2

ムーンライト(字幕版)

ムーンライト(字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

 

*1:それは私がいい歳した大人だから、というのもあるんだろうけど。

*2:この映画のことは、私は未だに全然理解できていないと思う。