揺らぎと色気

 Lillies and RemainsのLive DVD「"ROMANTICISM Tour 2015 - Live at Daikanyama UNIT"」を見る。前に渋谷で見た時も思ったんだけど、この人達はあっさりしているというか、妙に色気がないんだよなあ。曲だって佇まいだって、もっと色っぽく見える要素は十分備えているはずなのに、イマイチ盛り上がらないというか高揚させないんだよなあ。で、一通り見ていて、ライヴならではの演奏の荒さやブレがあんまり無いことが原因かなあと思い当たる。演奏が良くも悪くも安定していて、生々しさや肉体性に欠けるのだ。そうか、色気(ハッとするような魅力)には意外性というか「揺らぎ」が必要なんだろう。
 この自説にすっかり満足して、同僚に一説ぶったところ、「そうとも言えないのではないか」と同僚。同僚曰く「高校の大変威厳ある先生が、ある日スーツでママチャリに乗って登校してきたのを見た時、自分の中にあった「威厳ある先生」のイメージを傷つけられたようで哀しかった。別に色気は感じなかった」とのこと。すなわち「揺らぎ」、意外性だけでは色気には至らないと言う。うーん……。では後は何が必要なんだろう。今書いていて、必要なのは肉体性かなあと思ったが、ここで指す肉体性とは何だろうなあ。それはまだよくわからない。

 そういえば、90年代のdipも表面的な熱量は少ないバンドだったけど、彼らは物凄く色っぽかった。私との相性の問題なのかなあ。それともヤマジの歌が下手*1なのが、良い感じで「揺らぎ」を生んでいたんだろうか。

*1:なんか震えてる。