"Fragments of Lillies" Lillies and Remains at CLUB ASIA(東京・渋谷)

 Lillies and Remains初観賞。本日のセットリストはファンからのリクエストで決定した内容になるという趣向。そりゃ嬉しいけど、再結成バンドか、ファンクラブ限定イベントみたいな企画のライヴだなあと思ったりもする。若さがない企画だよなあ。

CLUB ASIA(の周辺)というところ

 円山町の中に建っており、道を挟んで向かいには同系列のクラブも建っているのだが、これが別の建物を居抜きしてクラブにした形跡があり、さながら九龍城のような外観。東京は様々な趣向で売り出す店舗があるので、そういう「居抜き感」を意図的に演出しているのかもしれないが、周囲の妙に後ろ暗い雰囲気と実によく合っていて好い感じだった。*1

あらゆる意味で今風

 ライヴ一週間前くらいにチケット購入したのに、整理番号が100番台半ばだったので客少ないかも……と思っていたら、開演時刻が近づくにつれどんどん人が増えてギッシリ満員に。メンバーのMCによると、「(満員になった安心感で)マネージャー泣いてたから、もっと早くチケット買ってもらえると嬉しい」とのこと。不安だったんだろうねえ。ははは。
 というわけで、初めて観たLillies*2は演奏に波がなく、良くも悪くも上手い。……もうちょっと先を求めたくなってしまう。リクエストに応える企画だから、アレンジの変更等はできなかったのかなあ。藤井麻輝のことは「師匠」と紹介。藤井さん、髪が豊かなリフ・ラフの様相。ヒゲをアゴと下唇の下に生やしている。ソフバ時代のスキンヘッドのイメージしかなくて、髪型は当時と随分変わったけど、基本的なテイストはソフバ時代と変わっていない。印象に残ったMCは以下の通り。
 「こんな感じで続けていきます」「(不定期で、ライヴ本数も多くないけど)辞めないからね」「(リクエストしたのに)演ってない曲ないよね?*3」「ファンともっと関わりたいと思っている」……これらのコメントの端々に見え隠れする、ぎこちない(初々しい)おもてなし感。終演後には本日のセトリをまとめたカードを客全員に配布。新しいTシャツに使われたデザインを印刷したカッコいいカードで、サービス満点。今まで見てきたこの手のバンドは、もっと突き放したスタンスのバンドが多かったので、何だか大変戸惑う。やっぱりマーケティングを意識してライブやってんのかしらとか、ビッグデータ時代のバンドは戦略的に活動しなければならないのかしらとか、おばさん頬に手を当てて色々考えてしまう。
 正直、気が利いたサービスより、ライヴならではの特別感が欲しい。演奏が下手でも*4ライヴの躍動感があればそれはそれで面白いし、演奏が達者なら「この曲をこんなアレンジで聴けるなんて!」という驚きが欲しい。悪くはないけど満足感はイマイチ。こんなに気遣わないとイカンのか、若いんだしもっと伸び伸び演ればいいのに……と、何だかちょっと気の毒な気持ちになって帰路。

*1:家賃高い区域だろうに、町の整備が行き届いていない感じや妙に薄汚れた感じがあった。東電OL殺人事件があった場所だというのも何だか頷ける。

*2:「リリーズ」とカタカナ表記すると、しりあがり寿のマンガに出てきた水吞百姓のコーラスグループを思い出して変な心境になるのでいちいちアルファベット表記しているが、ちょっと面倒臭い。

*3:これは繰り返し訊いていた。

*4:予想よりも断然達者でびっくりした。しかし「随分(人前で演奏?)していなかったので勘を戻しながら演っている感じ」とのこと。普段の練習はどうしているんだろう?