妹の子ども

 今回の帰省では、妹が出産して里帰りしていたので、私は姪と初対面することになっていた。私は犬に会えることを楽しみにしていたのだけど、家族たちは私が姪と会ってどういう反応を示すか楽しみにしていたらしい。母などは「あわよくば、これで急速に子どもを欲しいと思うようになるかも」と期待していたらしい。
 妹は子どもを抱きながら私を出迎えてくれた。彼女は大変な童顔なので乳児を抱いている姿は「生まれて間もない妹を抱く歳の離れた姉」のように見える。はたまた「十代の母」か。妹が子どもを産むとは、何だかまるで現実感がない……。生まれて二ヶ月の姪は何かといえばふにゃふにゃ泣き、妹がそれをあやしていた。その話しかけ方が「母が犬に話しかける時の話しかけ方」にそっくりで、そこが面白かった。自分と血縁関係にある子どもには独特の感慨がわくと周囲から聞いていたので期待していたが、何の感慨もなかった。見たら「可愛い!」とか思うものかと思っていたけど、そういうものでもないのだなと。
 夜には妹夫も訪れ、皆で会食。皆が寝室に引き上げた後、妹と長く話す。妹夫は来てから私が一度も子どもを抱いていないと聞いて驚いていたらしい。ちなみに妹が里帰りして二ヶ月経つのに一度しか子どもを抱いていない父についても驚いているらしい。私も父も「どう対応したら良いかわからなくて触らずにいる」という感じなんだけど、まあわからない人にはわからない感覚なのだろうと思う。