ファスビンダーと美しきヒロインたち atシアター・イメージフォーラム(渋谷)

 ファスビンダーを知ったのは今は亡きchimadcさんのブログで。あれから8年くらい経ったか? ようやく観ることができた(私もしぶといね)。

マリア・ブラウンの結婚

 第二次世界大戦後の混乱を生き抜く女性の話。彼女は爆撃の中結婚式を挙げ、結婚後出征した夫は帰って来ず、彼女はたくましく生きるうちに米軍黒人兵士の子どもを妊娠。そして夫が帰還し……さあどうなるどうなる、って、彼女がほんの数日の婚姻関係に拘って生き続けるのが不可解であった。最後のシーン、どうしてドイツとチェコのサッカーの試合経過がずっと流れ続けているのかもよくわからなかった。製作者の意図や主張があることはわかるんだけど、その内容までは汲み取れないという。汲み取れないのは私の問題で、当時のドイツの情勢や背景を知らないと駄目だなとしみじみ。外国映画(音楽もだけど)を見る時はいつもこの問題と直面する。

ローラ

 「マリア・ブラウンの結婚」に比べるとこちらの方が仕掛けは少なかったが、わかりやすくて面白かった。この特集上映には「愛を求め、愛に裏切られ、それでも愛を信じた女たち」というコピーがつけられていたけど、ローラは違うだろ。彼女が極めて実際的で、聖俗併せ持つところは人間らしくていいなあと思って見ていたが、まあ普通に考えれば売女とか罵られる所業だわなあ。これ、他の人と感想を話し合ったりしたら面白いだろうな。

2つの映画から考えたこと

 美しい風貌は大事。それだけで他人が惹かれ、新しい話が始まる。
 「女は仕事が出来ても綺麗にしていなければパートナーはできないと悟った」という安野モヨコのような、身も蓋もない馬鹿みたいな感想だが、まあしみじみ思った。

美人画報 (講談社文庫)

美人画報 (講談社文庫)