故郷うまいもの

 上司に故郷の美味しいものを贈ろうという話になった。しかし、あんまり目ぼしい物を思いつかない。第一次産業主体の地域だし、第一次産業を基盤に力を入れている第三次産業は迷走していると感じるものが多い。
 何が美味しいかなあと考えているうち、土産関係なく美味しいものがいくつか浮上してきたのでここに書き留めておくことにする。
1.館山中村屋のパン
 大正8年に新宿中村屋から暖簾分けしてもらったという地元老舗のパン屋*1。パン生地の味が濃厚、総菜パンがバラエティ豊かな味揃え、クリームパンやチョコレートパンは他のパン屋では見かけない一風変わった風味がする。古き良き昭和のパンを楽しみたい人には凄く良いと思う。
 ここはモカソフトも名物だったが、いつからか風味が薄くなってしまったので今はあまりおすすめしない。

館山中村屋 館山駅前店

食べログ 館山中村屋 館山駅前店

2.木村ピーナツのソフトクリーム
 「うわっ、美味しい!」と久しぶりに思った、故郷のお店の会心メニュー。上質な落花生の風味とコクが濃厚。落花生は油脂類に分類される種実であることを再認識させられる。これ、カロリー凄いんだろうな。でも美味しい。魔性の美味さ。
3.はばのり
 地元の高級食材だが、地元以外では殆ど知られておらずありがたがられず、むしろ引かれるという食材。どマイナーなハチノコみたいな位置づけの食材といえるだろうか? 見た目は砂が残ったままの小さな海苔なんだが(この辺がありがたがられない・地元以外で引かれる原因だと思う)、砂を落としてあぶり、もんで粉々にして食べると、普通の海苔より数倍強い磯の香りと海苔の風味が鼻腔を抜ける。私は御飯にかけて食べていたが、汁に入れたり酒のつまみにもなるらしい。
4.なめろう
 郷土料理の一種。鯵の刺身を細かくたたいて、調味料と刻んだシソとあさつき、しょうがを混ぜたもの。実家で祖父または祖母が手巻きずしのネタとして作っていた。実家で食べている頃には名前を知らなかったが、wikipediaを読んでいるうちに「祖父母が作っていたアレ」の名前を知った次第。
 何のひねりもない作り方の料理だが、この料理無茶苦茶美味い。香味野菜の風味と青魚の味の濃さがよく合っていて、刺身を大して好まない私が夢中で食べる美味さ*2。祖父は醤油を、祖母は味噌を使っていたと記憶しているが、レシピを読んでいて多分祖母の作り方が伝統的なのだろうと思った。祖母は海の傍で生まれ育った人だったし。

*1:私にとってはこちら館山中村屋が「元祖」中村屋だったので、新宿中村屋の存在を知った時、「中村屋のパチモン?」と思った。刷り込みこわい。

*2:物凄く美味しいのに家族6人で食べるには全く量が足りなかったので、よく祖父に「おまえは他人の食べる分を考えないのか!」と怒られたものだった。