九州北東部を輪行する(4日目:別府2)

亀川温泉へ

 別府市内は温泉エリアが点在しているので、公共交通機関で別府に来た時は1エリアに留まることが多い。しかし、今回は自転車がある。普段なら行けないエリアにまで足を延ばしてみよう。ということで、亀川温泉エリアに行ってみた。

向かいの浜田温泉資料館は正月休み。

浜田温泉。建物は新しいが、可もなく不可もなく。
あと行きたいのは近くの亀陽泉で終わり。しかし湯上り直後なのでまだ入りたくない。何処かで時間を潰そうにも、周囲は鄙びた商店街があるだけで、車はよく通っているがまるで人気がない。まだ午前中なのに、このままだと時間を持て余すのは必至だ……。
 時間はあるし、今後も度々別府には行くだろうと思ったので、別府八十八湯のスパポートを購入してスタンプを集めることを思いつく。ところが、亀川駅ではスパポートを売っていなかった。というか、観光案内所もなければパンフレットもない。地元民向けの素っ気ない造り。別府の1つ隣駅になったら途端にこれかい……。亀川駅よ、君は一体亀川温泉を盛り上げる気があるのかね。と内心ブチブチ愚痴るも、一方でこのような気の回らなさが大好きだったりする*1

柴石温泉へ

 亀川温泉エリアから柴石温泉に向かう途中で血の池地獄と竜巻地獄を発見。バスが止まっていたりして、結構盛況の様子であった。これらの地獄を過ぎたあたりからいよいよ坂の勾配がきつくなり、息が上がるようになる。また過呼吸を起こすと温泉どころではないので*2、無理をせず自転車を下りて進む。サングラスしてヘルメットもして、いかにも自転車乗りでございという格好なのに自転車押すのカッコ悪い……。こういう時を「旅の恥はかき捨て」というんだろうな。
 柴石温泉は市営温泉の1つだが、他の温泉と違って通常営業だった*3。建物の造りも綺麗で、立派な休憩所もついている。自転車を施錠していると、交通整理のおいさんから「自転車で来たの? 凄いね」と言われる。思わず苦笑い。
 (過呼吸は起こさなかったものの)心拍数が平静に戻るまで休憩所で休ませてもらっていたら、備え付けのTVで箱根駅伝が流れていて、思わず往路を全部見てしまう。今年の柏原は盤石。しかしこんな山の上まで自転車でやってきて、ダラダラと箱根駅伝見て、って何をしているのか私は。

ざぼん湯

 散々箱根駅伝を堪能した後、いよいよ温泉へ行ってみると大きな柑橘が数個湯に浮いていた。ゆず湯ならぬざぼん湯! 丸々したざぼんがそのままお湯に浮いているのを見ると、いやが上にもテンションが上がる。さすがざぼんが名物の土地、使い方が太っ腹だ……。
 ざぼんは結構浮力がかかっていて、沈めても手を放すと即座にトポンと浮き上がってくる。浮力があるので、一瞬水面から跳ね上がるのが面白くて、何度も沈めてみたり。自分の周りに何個もざぼんを侍らせてひじ乗せにしてみたり。ここの温泉は内湯にぬる湯があり、露天風呂の温度も低めなので長く入っていられる。ざぼんの爽やかな香りに包まれて、ざぼんに囲まれて。ああ幸せだわ……とウットリしていたのだが、突然腕に強い痛みを感じてギョッとする。そういえば、オレンジオイルって皮膚には刺激が強いんだっけ。
 下り坂のスピードに涙目で山を下り*4、亀陽泉へ。こちらもざぼん湯。ざぼんの上部を切り、より香りが立つようにしていた。どのざぼんの果実部分と切り取られた部分が同じざぼんだったのか一致させようと、パズルのようにして遊んでいる間に再び腕に痛みを感じたので終了。

競輪温泉

 競輪場のレース場隣に建つ温泉。競輪場への入場料金を払わないと入れないのかと思っていたが、駐車場を競輪場と共有するだけだった。ここは湯が(別府の湯らしく)とても熱かったので早々に退場。次にもし来ることがあったら、競輪場にも入ってみたいなあ。(レース場めしに興味があるわたくし。)

休日

 日が傾きかけた国道10号線を走ると、つい顔がニヤけてくる。高速バスで別府に来る度「この道を自転車で走ったら気持ち良いだろうなあ」と思っていた。今、私はその道を本当に走っている!
 宿に帰る途中でブックオフに寄ったところ、つい長居。「はるか17」を全巻読み倒し、店を出るととっくに日は暮れ、辺りは真っ暗だった。自転車で走り回って、最後にブックオフに長居して帰るって、普段の休日かよ。

はるか17(1) (モーニング KC)

はるか17(1) (モーニング KC)

安宿の使い方

 宿は風呂が共同なので、10歳くらいの女の子を連れた女性と一緒に入ることになる。先体場が2つしかないので、母子と気を遣いあいながら湯につかったり身体を洗ったり。排水溝に湯の花がびっしりついており、身体を洗ったお湯がなかなか流れないのには参った。他者の身体を洗った後の石鹸やシャンプーが流れないのは不快ですな。
 母親と少し会話。彼女たちは大分市内から別府に遊びに来たのだそうで、今日は遅くなってしまったので急遽こちらに泊まることにしたのだと言う。遅いって言っても隣の市なんだからすぐ帰れそうなものなのに?と何だか釈然としないような、そしてこの安宿が意外と認知されているらしいことに何だか意外な印象を受けた。

*1:別府は「観光客の尻の毛までむしったるぜ!」という気迫が感じられないことが多い。勿体無いなあとも思うが、その緩さを気に入っている。

*2:以前、近所の山(300m程度)を自転車で登った時に過呼吸を起こした。

*3:他の市営温泉は正月三が日は無料開放していた。

*4:下り坂でロードバイクは80㎞くらい出せるそうだが、私には絶対無理だと思った。