九州北東部を輪行する(5日目・佐伯1)

佐伯へ

 別府から佐伯行きの各駅停車に乗る。8:54発の電車はぼちぼちの入り。
 浅海井(あざむい)駅という、佐伯から3つ手前の駅で降り*1、浅海井から1キロほど佐伯方面に行ったところにある「塩湯」を目指す。快晴で、車が殆ど通らない道を自転車で走っていると、いつの間にか顔がゆるんできてしまう。「この道を自転車で走れたら気持ち良いだろうなあ」と思っていた道を今私は走っている!*2 道路標識に「佐伯」の文字を見てもニヤケる。行きたくてたまらなかったところに今自分がいることが嬉しくてたまらない。

塩湯

 レストランは11:00開店というので、待ちの予約を入れて先に風呂に入ることにする。10:30くらいに入った風呂は無人だった。小さいけれど、サンルームのような感じで海を見渡せる造りになっている。内装は木で統一されていて、入ると木の良い香りがぷーんとして気分がいい。サウナもあったが、私は湯当たりしやすく、湯当たりすると覿面に食欲が落ちるので入らなかった。ここの風呂は海水を引いているとのことで、明らかにしょっぱい。昔、門司のめかり会館が海水風呂をやっていると聞いて、行ってみたいなあと思っているうちにめかり会館が潰れてしまって夢叶わずと思っていたら、まさかこんなところで叶うとは。しかし塩水は傷口にしみる。
 11:30くらいにレストランに入ると、既に海沿いの席は満席で、二階席に通される。炭火焼の熱がこもっていて、微妙に熱い……。夏はこりゃ大変だろうなあ。そして、混雑しているのに独りでグループ席に座るのは結構気まずい。さっさと食べてさっさと出るべし。ということで、楽しみにしていたやきものセットと海鮮丼を注文。

 思ったよりもちゃちいので拍子抜け。アジのこういう飾りとか、ちゃっちいエビグラタンとか、骨ばかりが障るフグのから揚げとか要らんよ……。こういうので誤魔化そうたってそうは行かないんだぜ。

と思ったが、飾りを取り除いても結構あった。海鮮丼は通常「御飯ばかりを余らせないよう、如何に効率良く魚を食べるか」が焦点になるが、今回は「如何に魚を余らせないよう、ご飯を効率良く食べるか」が焦点だった。それでも魚が結構余ってしまい、自分が刺身を大して好きではないことを久しぶりに思い出した。ぷりっぷりの切り身ばかりそんなに食べてられん。次ここに来るなら、ヅケ丼にする。

こちらはやきものセット。まだエビとか控えてる。
 あまり焼き過ぎてしまうと美味しくないし、しかしノロウイルス怖いしで、ドキドキしながらカキやヒオウギガイ*3を食べると甘い! どうしてこんな味がするんだろう。不思議な甘さ。つきだしの魚味噌をつつき、焼いた魚介類を食べていると、日本酒を飲みたい欲が腹の底から湧き上がってくるが、慣れない道だし今日はこれからまだ20㎞くらい自転車に乗るので我慢するしかない。
 帰り、イセエビの刺身を一人で食べている人がいた。豪華!

デジャヴ

 満腹し、途中太平洋セメントの工場を見つけて和んだりしながらのんびり走っていると、佐伯駅に着いた。

 この駅舎、私はどこかで見たことがあるような……? と思い、新潟県の小千谷駅駅舎に似ていることに思い当たる。
建てられた年が近いのかもしれなかったが、調べてもよくわからなかった。

宿へ

 佐伯市は非常に大きな市で、今回の宿はネットを使って旧鶴見町の民宿を取っていた。ネットの画面から推察するに、そこはどう見ても釣り客対象の宿。そこに女一人客。自殺志願者と思われて不審がられたらどうしようとかドキドキしていたのだが*4、「ホントに自転車できたんですか!」と言われておしまい。ネットで予約する時「宿までの交通手段」という項目があったので「バスか自転車」と書いておいたのが印象に残っていた様子。多分物好きな客という認識で収まったのだろう。

*1:浅海井駅無人駅で、自転車が通らないほど改札が狭かったのには参った。

*2:googleストリートビューで行き先の風景はよく見てた。

*3:バターが乗っているホタテのような貝「緋扇貝」の名前の通り、貝殻の色が鮮やかなオレンジや紫をしていて、天然でこんな貝があるんだ!と結構驚いた。

*4:以前別府で湯治宿に泊まったら、旅館の女主人に物凄く不思議がられて色々訊かれたことがあった。