長編の記憶

 何だか物凄く切ない恋の夢を見て、寝おきの気分がすぐれない。
 始まりから終わりまで一部始終がきっちりある夢だったのだが、筋立てを殆ど覚えていない。しかし住んでいた家はよく覚えていて、ドブ川の傍に建つ古い木造住宅だった。縁側が窓ガラスの内側にあり、そこに出るのが私は好きだった。しかし実際に出ると、川の向かいの家で飼われている複数頭の犬が一斉に吠え立てるのでうんざりする。
 夢の中に登場する家は、大抵ボロッボロの木造住宅ばかりなのがちょっと気になる。確かに好きなんだが、夢でも毎回住むのはちょっと。