IBIZA祭 at イビサスモークレストラン(福岡・うきは)

 IBIZA祭はイビサスモークレストランが毎年夏に主催しているお祭で、一度は行きたいと思っていたイベント。ここのレストランの立地は物凄く気持ちが良いのだ。あそこで御飯食べながら音楽を聴けたら、どんなにか気持ち良いだろう。しかし、私は土曜日が仕事日なのでその願いは叶わずにいた。
 ところが今年、奇跡的に休みが取れた。今年を逃したら、もう当分行ける機会はないだろう。ああもう行く! 絶対行く! 何があっても行く! 久しぶりに鼻息荒く決意を固めること1ヶ月、とうとうその日が来た。

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ばしょぢから

 結局ロクな装備も持たず、当日朝まで噴きつけるような大雨、朝から何故か下痢。不安材料だらけで心細くなりながら現地に着いたのは午後1時過ぎ。天気は小雨が降ったり止んだり。レストランの庭には特設テントとスピーカーが用意され、レストラン本体で行われているアンビエントな演奏が聞けるようになっていた。
 私はレストランの下を流れる川の傍に行きたかったのだが、今日はレストランから川に降りることはできない設定になっていたので*1、音楽も川の音も聞こえる場所でぼんやりする。川の音、水のにおい、土のにおい、草のにおい、それから音楽。ああ、ああ、相変わらずここは気持ちがいいなあ。生い茂る草木を見ながら植物の名前を1つ1つ確認したり、見慣れない苔の観察をしたりしているうちに、不安も緊張も大分ほぐれていった。ここは場所そのものが凄く力のある場所というか、ここへ来ると穏やかにならずにはいられない。
 ほぼ外でふらふらしながら聴いていたのだが、ピラルクは観たかったのでちょこっとレストラン店内を覗いたり、またすぐに出たり。楽しみにしていた音は、薄明かりの中で日の出を見ているような、いかにもアンビエントな音像だった。昼の部終盤*2から仮眠のため駐車場の小屋(後述)に移動。小屋は誰もおらずすぐ脇を流れる川の音がよく聞こえて、眠るには絶好の条件だった。でも足を蚊に食われる。靴下の上からでも食われるとは! さすがヤブカ、気合いが違う。

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 夜は長い。ってんで、夜の部初盤は食事したり、同様に来ていた顔見知りの人と話したりして過ごした。こういう状況は大抵物凄く緊張するものなのだが、場所のおかげか不思議なほど穏やかに話ができた。
 面白かったのは、1つは(犬を飼いたいけど場所と時間がないという話をしたら)虫を飼うことを勧められたこと。それも、肉食の虫を飼うのが面白くてお勧めらしい。テントウムシとカマキリ、ハエトリグモを一循環飼ったことがあるのだそうで、餌をどうやって調達するか、面白さのポイントはどこであるかなどを興味深く聞く。テントウムシの餌となるアブラムシは、毎回その辺へ探しに行っていたらしい……。マメだなァと感嘆しつつ、このくらいのマメさすら無くて、もっと手間のかかる犬*3など到底飼えんだろうと思ったりする。犬飼育までの道のりは険しそうだわ。
 面白かった話もう1つは、舞踏の人から聞いた「暗黒舞踏流・スキンケア術」。暗黒舞踏の人は大抵全身白塗りであるが、あれは一体何を塗っているのか気になっていたのですよ。「煉り白粉のようなもの」らしいあれは、強力なクレンジング剤でないと落ちないらしい。しかし、強力なクレンジング剤は肌が荒れる。そこで

  • 夏は日本酒漬けのスライスキュウリでパック
  • 冬はオリーブオイルでケア、寝室には加湿器

で肌荒れ対策を施しているとのこと。「ほら、だから肌荒れしないんですよ!」と触らせてもらった肌は驚くほどぷるぷるであった。私より一回り以上年齢が上とのことであったが、肌年齢は多分互角。肌ってケアでどうにかなるもんなのねええと驚愕。冬場になるとしょっちゅう粉吹いて「牛乳飲みました?」とか言われる我が身を振り返る。もう少し頑張ろうか自分。

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 このような話をしている間、演奏フロアの方は大盛り上がり、フードコーナーも座りきれないほど人がいた。麓から10キロ以上上った山の上に、よくぞこんなに人が集まったものだなあと感心することしきり。で、皆何だかニコニコしてる。駐車場に行き来する時、人とすれ違う度に「こんにちは!」と声をかけられたものだし、立てかけておいた傘を落として拾おうとすると、見知らぬ人が拾ってくれたりする。何だか大変ピースフルな雰囲気。
 これは演奏フロアに参入してからも変わらかった。私は22時半頃*4から演奏フロアに入って踊ったり、ぼんやりしたり、時々離れて寝ていたりしたのだが、踊っていると誰かの飲み物が「回して!」と回ってくる。「(踊りながら)このまま朝になったらいいですね!」と話しかけてくる女の子。みんな笑顔、きっと私も笑顔。見知らぬ近くの客とハイタッチしたりしてた。疲労や酔いもあったのだろうが、久しぶりに無心に楽しみ、踊った。踊る時って大抵なんか恥ずかしくて「えいっ!」と思いきりがないとできないのだが、すっと自然に踊り出してしまえた感じ。蝉で踊る時が来るとは思わなかったなあ*5。今日の蝉はサックスの川下さんが入り、以前見た時と同じ編成。爆音ギターとガチ勝負かますサックス、頭が震えて訳がわからなくなる*6。おおーんとギターが鳴り続けた最後の最後、ふと気がつくと周囲の男子はほとんど上半身裸になっていた。
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 行きたい行きたいと思い続けて早幾年、期待し過ぎて数日前から訳がわからないほどになっていたイビサ祭りは、期待に負けぬほど楽しかった。
 今年行けるかもしれない可能性が出てきた時、祭に行ったことがある人に感想を尋ねたところ「この世のものと思えぬほど良い思い出しかない」という感想が返ってきて「ふーん?」と思ったものだが、そう思ったのもむべなるかなという感じ。もう終ってしまったのか、本当に終わってしまったのかな、とても楽しかったのに妙に現実感がなく、思い出そうとすると何だか化かされたような不思議な感覚を覚える。また行きたいなあ。行けたらいいな。

車を持たず、一人で行く人(私)のためのメモ

 イビサスモークレストランは最寄駅から12km先の山奥にあるレストランで、そこまで行くための公共交通機関といえば一日数本のバスしかない。おまけに山奥なので天候も変わりやすく、オールナイトイベントなので夜は寒いだろうし。ってんで、車を持たない・一緒に行ってくれる友人もいない・朝型で夜に弱い私は大変不安に感じていたのだが、大丈夫だった。
 そこで私と同じような条件で行く人と、もしかしたらいつかまた行くかもしれない未来の私へ向けてのメモ。

  • 仮眠も取れる休憩所があります。
    • レストランから400mほど行ったところに特別駐車場が用意されており、この敷地内にある建物の中で雑魚寝ができます。トイレと水道もあり。キャンプ用のマットか銀シートがあればそれなりに快適に寝られると思います。私は夜更かしが苦手なので、夜に備えて夕方ここでしばらく仮眠をとりました。お店側としては「子ども達が休めるように」用意している場所のようなので、夜になったら片づけてお店に移動する方が良いかもです。深夜眠くなった時は、庭に張ってあるフードコーナーのテント(机と椅子有)で少し寝て戻る、というのを繰り返していました。

モンベル(mont-bell) U.L.コンフォートシステムパッド オレンジブリック(OGBR) 長さ120cm 1124274

  • キャンプは?
    • 特別駐車場と同じ敷地内でキャンプすることも可能でしたが、連日までの雨で地面はドロドロ、馴れた人でないとテントを張るのはちょっとしんどいのでは? と思いました。
  • 虫除けグッズは必携で。
    • 露出してない部分は大丈夫だろうと思って虫除けスプレーをかけずにいたら、靴下をはいていたにもかかわらず、仮眠中に足の指を蚊にやられました。ヤブカは凶悪です。
  • 寒さ対策は?
    • ストールとやや厚めのカーディガンを持っていきましたが、カーディガンだけで十分でした。春・秋物の上着が一枚あればどうにかなるっぽいです。ただ、深夜寝るならもう少し何か要るかもしれません。私はサバイバルシートを持っていきましたが、結局仮眠時の敷物として使っただけでした。ただ、雨が酷かったらプラスアルファが必要だったような気もします。

ハイマウント(HIGHMOUNT) サバイバルシート シルバー 22133
 結局、会場で飲酒→昼の部終了間際から夜の部開始寸前まで2時間ほど雑魚寝小屋で仮眠とったら一晩乗り切れました。物凄く心配していたのが拍子抜けするくらいアッサリ解決でした。また行ける時があるなら、今度はそれほどビクビクせずに行けそうな気がする。



 

*1:川へ降りる入り口があるところは、楽屋スペースになっていた。

*2:午後12-6時までが昼の部、午後7時-翌日明け方までが夜の部。

*3:給餌+散歩+しつけ。

*4:? maroonさんのところから入った。タイムテーブルよりも2時間以上遅れていたと思う。

*5:トリの蝉は、開始が当初の予定より1時間半遅れて4時開始という凄まじさだった。しかしオールナイトイベントなので全然気にならず。

*6:私と別場所で見ていたらしい顔見知りは「蝉凄い! 耳から脳味噌が出そうだった!」とこの時の演奏を述懐していた。