怪談

 今の車には、事故予防装置をあれこれ付けた。車線をはみ出したり、車間距離が短いのにブレーキを踏んでいなかったり、果ては信号停止していて前の車が出発したのにしなかったりする時まで、警告音を出して注意を促してくれる。何かとピーピーうるさいのであるが、車とコミュニケートしているような気分になるし、まあこれはこれで。と可愛く思っている。
 日雇い仕事の帰り道によく使う裏道を通ると、必ず「ブレーキ!」の表示と共に警告音が鳴る箇所がある。その場所は片方が畑、片方が崖の山間の二車線道路で、車どころか人にもロクに遭遇したことがない道なのだが、そこを通ると必ず警告音が鳴る。ここには目に見えないが、車が感知する何かがある(いる)のだろう。まあそれはそれで。