超絶好みの集合住宅(廃屋)

 そのマンションは高名な建築家の設計らしい。私は中二階にいた。二階に上がるには、滑り台のような通路を上らなければならない。人一人がやっと通れる幅の通路はとてもよく滑るので(この点もまさに滑り台と一緒だ)、私はしゃがんで重心を低くし、滑り落ちないように気をつけて通路を上った。2階の踊り場に着くと、目の前には2つのドア。埃っぽくて、もう開かれることはないんだろう。ドアの上*1レリーフが凝っていて、隙間から漏れ出でる光を受けてとても美しかった。この辺も設計の際に考えられて作られたんだろうなあ。
 滑り台になっている通路を下りる。上るのは大変だが、下りる時は滑れば良いので簡単だ。皮膚に伝わるコンクリートの冷気が心地良い。もう一度中二階に戻ると、中二階にはかつてバーがあったらしいことがわかった。このマンションは、かつて高級集合住宅として売り出されたらしい。今も残る凝った意匠や設計から、往時の様子が何となく推察される。
 一階に下りてエントランスから出ると、辺りは一面の草原だった。オオバコのような低い草が生えている。先日の雨で湿った土がまだ乾ききらず、地面はグジュグジュしている。沢蟹が歩いているのが見えた。靴が濡れるなあ。空は快晴。今日は蒸し暑くなりそうだな。足を踏み出すと、草いきれと立ち上る湿気が伝わった。この辺はかつて小洒落た住宅地だったらしい。マンションの傍にあった商店街も廃墟だった。商店街の入り口で振り返ると、先ほどまでいたマンションの全景がよく見えた。中にいた時はわからなかったが、結構大きい建物だったのだな。窓はガラスが悉くなくなっており、ぽっかりと黒い穴を開けていた。

****************************

 昨日まで結構な大車輪の進行だったのだけど、終わった途端に見た夢がこれ。割と状態良さそうだな自分、と上機嫌でいる。
 

*1:欄間のような部分があった。