英会話を学ぼうと決意

 映画のエキストラに出ることになった。廊下に出ている椅子に座ってポツンと出番を待っていると、役付きの俳優さんの楽屋がガラッと開いて、マイケル・スタイプの目を小さくして眼光を更に鋭くした大柄な外人が出てきた。目が合ったが、全然表情が動かない。何だか命の危険を感じたので席を離れるが、後をついてくる。走ると反って逆上させる可能性があるので、素知らぬ振りで皆が集まる広間へ行った。広間なら人目があるので、大変な目には遭いづらいだろうという目算。スタイプも広間に出てきた。屈伸運動をしている。また目が合うが、能面のような表情。やべえ、やっぱりコレ何かある。
 素知らぬ振りで時間潰しの作業道具を広げていると、スタイプが近づいてきた。硬直する私、微笑して話し始めるスタイプ。英語なので全部はスムーズにわからないが「挨拶をしようとしただけなのに逃げるからホントにもー」みたいな話だった。一気に安心して脱力。「殺されるかと思いましたよ!」と冗談交じりで返そうとして、しかしどう喋ったら良いのかわからず言葉が出て来ない。受信はできるけど、発信はできないというのは実にもどかしいものだと痛感。英会話を習いに行こうと心から思った。