MRIと厨2と現代音楽

 先々週にMRI検査についての説明を受けた。2人の看護師と1人の医師から「狭いところ大丈夫? 大きい音がするし、身動き取れないけど大丈夫?」と訊かれる。はあ。そして本日も看護師と検査技師から同じことを訊かれる。明らかな閉所恐怖は無いのだが、トンネルで軽い動悸を感じたことが数回あるので、絶対大丈夫かと言われると心許ない。そんな訳で、ちょっとドキドキしながらMRI検査室に入る。分厚い金属の扉の向こう側でMRI機器を見た瞬間 AKIRAだ!」 と急に盛り上がる。あれだ、事故った鉄雄がラボに運ばれて最初の検査を受ける機械じゃん! 「うつぶせになったりもします」と言われたけど、機械の中で宙に浮いてグリーッと身体が回ったりするんだろうか。

AKIRA(1) (KCデラックス)

AKIRA(1) (KCデラックス)

 大きな音がするので、マスキングできるようにとヘッドホンを渡される。オルゴール音楽を聞いて、機械の騒音による苦痛を和らげて下さいということらしい。しかしヘッドホン程度では全然気休めにならないでしょうがとも言われる。はあ。一体どれだけひどい音なんだろう。
 腰部を幅広のマジックテープで固定されて身動き取れなくされた後、機械の中へ入れられる。しかし機械の中は意外と明るいので、狭さによる圧迫感や恐怖は殆ど感じなかった。さて、どんな音が……と思ったら、何だか馴染みのある音が。
こ  れ  は  ド ゥ ミ ト レ ス ク  で  す  ね

 先週、何故か急にドゥミトレスクのことを思い出し、数日間しばらくはドゥミトレスクとその界隈の人々の音楽ばかり聴いていた。何だ、全然平気じゃん。「大きな音」というから、灰野さんのライヴばりに音圧で身体が震えるレベルの音を覚悟していたが、そんなこともなかった。気がついたら眠ってしまっていて、眠っている間に終わった。なんだー。心配した割にMRI検査そのものは全然大したことなくて良かった。むしろ「造影剤を入れるかもしれないから」と手首に刺しっ放しにしていた針の方が余程不快で苦痛だった*1


 ドゥミトレスクを聴いたのは実に10年ぶり位で、何故急に思い出したのか? まあ急に思い出すこともあるわな。くらいに思っていたのだが、まるでMRI検査に備えて聴いたようなタイミングの良さ。あまりのタイムリーさに、神の御加護か? と思ってしまう。まさかこんなところで現代音楽が免疫として役立つとは思わなかった。何でも無駄になるものはないというか、色々経験しておくものだなあとか何とか。そして身体が宙に浮いてグリーッと回ることはなかった。寝てしまったので、寝ている間に回っていたかもしれないけど。

*1:結局入れなかった。