旅情

 島根への出張日。仕事が終わり、本日の宿泊先であるホテルへ送ってもらう際、運転手さんが「何か買いたい物があるなら商店へ寄りますよ?」と提案してくれる。あ、是非是非。本日宿泊のホテルは崖の上にポツンと建っている陸の孤島のようなホテルで、とにかく周囲に何もない。これで「終業後の一杯」を確保できる!*1 いやあ良かった、これで一杯飲めます、ありがとうありがとうと喜んでいたら「お酒が欲しいなら、この辺の造り酒屋へ寄りますが?」と更なる嬉しい提案。寄って下さい! 大喜びのわたくし。
 寄ってもらった造り酒屋で、地酒二本とビール1缶購入。さらに、地元で採れたワカメを加工した「おつまみわかめ」も購入。更に酒粕をおまけにつけてもらい、気分はホックホク。酒屋からの帰り道、運転手さんはホテルへの道を遠回りして、酒屋周辺の住宅密集地を案内してくれた。赤茶けた壁の平屋がびっしりとひしめいている。この辺りがこの土地の『まち』なんだそうだ。故郷の漁村エリアと雰囲気がよく似ているけど、この辺の人達も漁業で生計を立てている(た)んだろうか。この辺を自転車で走ってみたかったな。今年は交通機関の関係で、自転車を持ち込むことができなかったことがつくづく惜しまれる。そして前回といい、運転手さんは異邦人の私に島根の文化や土地を紹介することに熱意を燃やしているような*2
 ホテルの夕食を食べながら、日本酒を1本開ける。ここのホテルは(安い宿泊料からは考えられないほど)夕食が豪華で美味しいのだ。ナマコの酢の物を食べながら日本酒を飲んでいると物凄く幸せ。ああ、去年の出張中からこうできたらどれだけ幸せだったことか! 来年からはこの出張に行けなくなることがつくづく残念。

*1:一応ホテルの中にビールの自販機はあるが、何故か電源が切られている。以前ビール飲みたさに硬貨を入れて、返ってきた時には落胆で膝折れしそうになった。

*2:今回は雑煮の話をしていた。煮豆と餅しか入らないシンプルな物らしい。