イチジク狩りに行った

 佐賀のバルーンフェスタに行こうと思っていたのだけど、強風のため気球は飛ばないようだし、風にあおられながら筑後川沿いを走るのはしんどいので中止。鳥栖付近をうろうろしている時にイチジク狩りへ行くことを思いつき、一路ふらふら田主丸へ。果物が豊富な地域に育ったにもかかわらず、私は実家を離れるまでイチジクを食べたことがなかった*1。福岡に来てから初めてイチジクを食べて、大好きになった。何て変な形で、好い匂いで、心地よい食感で、美味しいんだろうと思った。毎年今年こそはイチジク狩りに行こうと思っていたのだけど、ずっと機会を逃してきたのだ。
 連休最終日の昼下がりだというのに、草野のあたりには人気がなかった。イチジク園も客の姿はなかった。もうシーズンは過ぎているから、客がいないのかな。自転車を留めていると小屋の前の犬が吠え、小屋からおいさんが出てきた。いちじくを試食してみろという。昔ながらの品種と、近年出てきた品種の2種類を食べさせてくれる。昔ながらの品種の方が甘味が低いような気がするが、あんまりわからない。おいさんは私がいちじくを買いに来たと思っていたようだが、私が無言できょろきょろしているのを見て*2「いちじく狩りに来たの?」と一言。狩りますよ! 狩る気満々ですよ! さあどうすればいいんですか!? と思ったら、籠を渡される。これにイチジクを獲って持ってこいと言う。いちご狩りのような「料金先払い・園内食べ放題」を想定していたら、自分で獲ってきたのを量り売りで買い取る方式らしい。1kg1300円、大体10-13個程度で1kgらしい。獲れたてイチジクをその場で食べることを期待していたので*3がっかりするが、目の前に広がるイチジク畑へ入れば好物が実っている情景に否が応でもテンションが上がる。

エイリアンそっくりのイチジクの写真を撮ったり、熟し過ぎて身が破裂しているイチジクを眺めたり。同じように破裂しているのに、ハエがびっしりたかっている果実とそうでもない果実は何が違うのかとか、色々考えさせられて物凄く面白い。あと、甘い匂いに惹かれてハチが来るんじゃないかと思ったが、ハチはいなかった。そういえばアリも見なかった。これは凄く不思議だった。
 身が破裂しているのが美味しいんじゃないかと思って手を伸ばしたら、ショウジョウバエが四方に飛び散ったのにはびっくりした。種だと思った黒いのは、全てハエだったらしい……。試食の時もショウジョウバエが凄かったが、果物が好きなハエだから仕方ないだろう。多分虫が駄目な人は、試食の段階で食欲を削られてしまうだろうが、私は全然平気。しかしさすがに黒くなるほどハエがたかった果物を食べる勇気はなく、破裂した果実を獲るのは断念する。熟れ熟れで表面に汁が滲んでいるようなのを数個と、持ち帰り用に数個獲る。
 熟れ熟れの数個は食べて帰ることにする。アルコール臭もなく、イチジクの甘い香りと蕩けるような甘味で美味しい。売られているイチジクはここまで熟していることはないから、これはイチジク狩りの醍醐味かもしれない。量り売り方式だし、食べたくなった時に熟れ熟れのだけ狩ってその場で食べて帰るようにしたらいい。イチジク園は11月上旬で終わりということだったが、おいさんの話では「霜が降りたら終わり」だそうで、霜が降りるとイチジクの葉が黒ずんで景観が悪くなる(=客足も遠のく)のだそうだ。霜が降りる前にもう一度来たいなあ。3個くらい食べたらお腹一杯になるし、スーパーで買うのよりちょっと高いけどスーパーで買うのよりもずっと美味しいし。
 帰宅したら何だか疲れていて、1時間ほど眠ってしまった。何故こんなに疲れているのかと思ったら、50kmくらい走っていたことが判明。そりゃ疲れるわ。

*1:母が「イチジクは甘すぎるから嫌い」と言って食べなかった。親の嗜好が子の食物選択に与える影響はやはり重大だ。

*2:イチジク狩りの説明看板が何処かに無いか探していた。

*3:いちご狩り園を親族が経営しており、毎年親戚のところへ御挨拶に伺う度にさせてもらっていたので「果物狩り=その場で食べるなら好きに食べろ、持ち帰り分は買い取りだ」というサービスだと思い込んでいた。