せんじ揚げ(広島)

 広島からの帰り道、小腹が空いていた。ビールのお供はどうしよう。空腹ならガッツリお好み焼きを食べるけど、今日はそれでは過剰だ。どうしようどうしよう。とウロウロしていて見つけたのが「せんじ揚げ」。ホルモンを長時間かけて油で揚げた物らしい。口の中に入れた当初は淡白な油の味しかしないが、黙々と噛み続けるうちに肉の旨さと仄かな獣臭がじんわり染み出してくる。すっかり柔らかくなった肉を飲み込んだら、ビールをキュッと飲む。すると獣臭がリセットされるのでもう1つ! 濃い目のビールが合うと思う。
 酒のつまみは割と辛い味付けになっていることが多いが、これはあまり辛くないのも魅力的。そしてこのせんじ揚げ、広島名物と書いてあったが初めて見たのだけど?

広島伝統の珍味「せんじ肉」(または、「せんじがら」、「しめかす」とも呼ばれます。)を、ウエダ独自の加工技術で現代に復活させました! 食べやすい大きさにカットした、豚のホルモン(“ガツ”と呼ばれる豚の胃袋)を、大豆白絞油(しらしめゆ)で長時間かけて揚げることにより、臭みやクセを抜いてホルモンの旨味だけを凝縮しました。 シンプルな味つけで、素材の味を存分に味わえます! 油で揚げていますが、指でつまんだとき、ポテチのように指が油で汚れるようなことはありません。(←ちょっと不思議ですけど、からっとしています。) 初めは堅いですが、口の中で転がしているとだんだん柔らかくなり、噛めば噛むほど味が出てきます。 堅いのを無理にかじるより、口の中でふやけさせて、染み出てくる味を楽しむのがオススメです。 広島でいくつかの類似商品があるなかで、「ひと味もふた味も違う大人の珍味」として根強い人気を得ています。 ホルモンを油で長時間煮揚げるため、水分が飛ばされ、1kgのホルモンから作れるのはわずか180g程度。 もともと保存に向いていますが、当店の「せんじ揚げ」は包装用特殊フィルムと、脱酸素剤の併用により、賞味期限が製造日より最長で65日となっております。常温保存が可能ですので、まとめ買いしてゆっくりゆっくりお楽しみいただけます。
(植田商店の商品説明・せんじ揚げ)

製造元である植田商店のホームページを見ると、この「せんじ揚げ」は、被差別部落の食材だったという「あぶらかす」とほぼ同じ物ではないかと思う。食材としての用い方もよく似ている。

被差別の食卓 (新潮新書)

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 美味しそうだけどどんな食べ物なんだろうなあと漠然と思っていた食べ物と、まさかこんな形で遭遇するとは。そして一袋(40g)食べきると結構もたれる。