ひとたまりもない

 大通りから一本入った二車線道路をママチャリで走っていると、後ろから大きな車のエンジン音が聞こえた。この車がいつになっても私を追い抜いてくれない。車にしては低速のまま、ずっと私の後ろを走っている。気になって仕方ないので、車が追い抜いてくれるようかなり端によって走ったら、出っ張っていた看板にぶつかって転倒。道路に投げ出された私の脇を、トラックがゆっくりと抜いていった。かなり冷や汗をかいた。
 自転車に乗っていて車に攫われるケースの話を何度か聞いたことがある。車がその気だったら自転車に乗っている方はあっさり攫われてしまうものなんだなあと思った。今回のように転倒しても駄目だし、止まってやり過ごそうとしても駄目だろうし。逃げるなら脇道に入るくらいしかないか。そして、今回車に轢かれず頭も打たず、両手にかすり傷を負ったくらいで済んで幸運だった。久しぶりに本当に怖かった。