影の大物

丸源ビル」オーナー逮捕 孤独な富豪「節税はゲーム」産経新聞
■銀座の不動産王「カネ執着ない」
 丸の中に「源」という赤いネオンは、夜の銀座の象徴にもなっていた。法人税法違反容疑で逮捕された川本源司郎容疑者は多数のビルを抱え、巨万の資産を形成して「銀座の不動産王」と呼ばれた。家族も側近もおらず、一人で会社をかじ取りし、バブル経済崩壊も切り抜けた川本容疑者。「節税はゲーム」とも語った“孤独の富豪”に、捜査のメスが入った。

◆バブル生き残る
「カネを稼げる人間は運とチャンスを逃さない。僕はそういう人間だ」
 産経新聞の取材に川本容疑者は自信たっぷりに語った。痩せた長身で白髪のオールバック。80代にもかかわらず、細身のジーンズとブーツをはきこなしていた。
 東京・渋谷に広大な自宅を持ちながらも、高級ホテルで生活。6千万円の腕時計を着けて1億円のロールスロイスに乗り、「日本一の資産家」と周囲に称した。
 民間信用調査会社などによると、川本容疑者は昭和7年、北九州市に生まれた。慶応大を中退して家業の呉服店を継いだが、その後、貸しビル業に転身。都心の一等地に次々と不動産を購入した。「銀行の融資は極力避け、賃料を軸に経営をまかなった」(不動産関係者)
 最盛期には約60棟のビルを持ち、保有テナント数は5900軒に。バブル崩壊で同業の資産家が続々と表舞台から去っても、丸源ビルは成長を続けた。「バブル景気を冷めた目で見ていて、無茶はしなかった。その冷静さが不況でも成長を続けた理由だ」。古くからの知人男性は、そう明かす。

◆独特の美学持ち
 「他人に頼るな、と親に言われて育った。信頼できるのは自分の頭だけだ」(川本容疑者)。独身で子供はおらず、側近も後継者もいない。入居を希望する店子(たなこ)の面接すら自ら行うなど、ほぼ独力で会社経営を担っていた。
 そんな川本容疑者について、周囲は「独特の美学の持ち主で変わり者」と口をそろえる。「らしさ」が発揮されたのは7年前だ。ハワイの高級住宅地で1戸2億〜20億円の住宅を数十戸購入し、それを月額数千円で低所得者向けに貸し出した。地元でも「ミステリアスな出資」とニュースとなった。
 「もうカネに執着はない」。そう語る一方で節税には並々ならぬ意欲を見せ、「ゲームのようなもの」と話した川本容疑者。会社の社名変更や住所移転を頻繁に繰り返しており、経営実態を外部から把握しづらくする工作を展開していたとみられる。
 今後は持ちビルから店子を徐々に撤退させ、事業を縮小する予定だったという。取材に「テナントを空にして、腕のいい陶芸家を招いて個展を開きたい」と将来の夢を語っていた。
 別の知人男性は首をひねった。「芸術の理解者に見えず、本当に個展が開きたいのか疑問だ。財産もあり余っており、節税を繰り返したうえ脱税に手を染める理由が理解できない。孤独で不思議な人間としかいいようがない」

 丸源ビルを初めて見たのは、中洲に連れて行かれた時のことだった。あちこちに赤く浮き上がる丸で囲った「源」の文字。その後北九州の繁華街でも見たし、東京銀座でも見て驚いた。この「丸源」の会社ってどんな会社なんだろう。
 その後北九州で夜の仕事を長くしている人と話をする機会があった際に上記の質問をしてみたところ「丸源の社長さんは色々とある人だから」とそれ以上は話して貰えなかった。で、私の頭の中では丸源の社長さんについて、ジャンプのバトル漫画で「回の最後にシルエットだけで登場する大物」みたいなイメージが形成されてしまっていたので、今回のこの記事でイメージに一応の決着が着いてスッキリ。