シマシマ 全巻

　他人と一緒に寝るのが好きだ。私は寝つきが悪い上に眠りも浅く、一度目覚めたらなかなか眠れない。しかし隣で眠る人の寝息が道しるべとなって、もう一度眠りの世界に戻ることができる。私の状況などおかまいなく、安らかに眠る他者の存在はとても私を安心させてくれる。
　これは「眠れない」女子のために、添い寝をしてくれるイケメン男子を派遣する派遣屋と、派遣屋のやり手婆であるヒロインの成長物語。読んでいると、人が隣で眠っている時に体験される「スコーンと眠りに落ちる感じ」を思い出して穏やかな気持ちになるが、同時に「商売も恋も仕事も、実際はとてもこんな風にはいかんわなあ」とも思う。女子好みで、鼻につかない*1ファンタジー。
　しかし、この漫画に出てくる「眠りやすい環境設定をササッとしてくれて、寝つくまで見守ってくれて、自分が起きる数十分前に起きて朝の支度をしてくれる」人は客受けするんだろうか。私だったら、こんなに気の利いた添い寝相手はちょっと嫌だ。眠りやすい環境設定をしてくれたら、自分が先に眠ってしまって、私が起きてもゴンゴン寝ているような、少し鈍い位の相手の方がありがたいんだけど。それとも、お金を払って添い寝してもらっていたら、感じ方はまた違うんだろうか。

シマシマ(1) (モーニング KC)

*1:槇村さとるの漫画も女子の成長物語が多いが、「こうあれ！」という作者の主張が強くてしばしば鼻につく。