意味のない会話

 以前偽兄と話していて、「多くの会話の内容に意味はない」という話になる。むしろ、会話をすること自体に意味があり、私たちは会話を交わすことで敵意のなさや好意や、相手と感情のやりとりをしているのだ、と話し合った。

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 今日の宴会場まで、Nさんと一緒に先輩の車で乗せて行ってもらう道すがら、Nさんがぽつんと「この前よりもずっと気が楽ですね」と言った。あの時は私が感じていた以上に、Nさんも緊張していたらしい。「あの時、後輩から振られる話題にNさんは一切乗らないし!」 と笑ってつつこうとしたら、先輩が「Nさんは意味のない会話には乗らないもんね」と一言。それで、あっと思った。私がNさんを好きなのは、お互いにあまり話さなくて済むことだと感じていたのだけど、それは多分沢山会話を交わさなくても、相手に好意を感じるし感じられるということだったのだろうと思う。
 彼女の方策が全ての場合に適用できるとは一切思わないし、内容のない会話戦略を私はこれからも続けていくだろう。でも、あまり話さなくても一緒にいられる人を何故自分が好むのかや、話しても話しても相手への親密感が増さないことがままあるのか、ちょっと気になっていたことの理解に手がかりを得たような気がする。