徘徊中の認知症高齢者に出会う・2

 最寄駅から職場までは歩いて15分。今日は普段より1本早い電車に乗れて、30分ほど早く着いた。
 今日は花を愛でながら優雅に行けるなあ*1とうきうきしながら歩いていると、70代くらいの女性に呼び止められた。
「あのね、帰れないの……うちに……」
これは、と思って色々尋ねると、住所を聞く限りではこの近所に自宅があるようなのだが、道が思い出せない様子。また出会ってしまった。
 家は近所のようだし、同居家族がいるようなので、ここで別れても家族が見つけてくれそうな気がしたが*2、事故に遭う可能性もあったので結局110番。どういう仕組みがわからないが、今回は携帯から自動的に位置情報が警察署に送られており、場所説明に手間取ることなく話を進めることができた。彼女は1人で移動するのが不安だったらしく、私が動かなければ動こうとしなかったので、引き留めておく工夫も特に要らなかった。また、警官が「僕はあなたの家を知っていますよ、さあ車に乗りましょう」と促すと、抵抗なくさっさとパトカーに乗ってくれたのもありがたかった*3。結局、いつもの出勤時間とあまり変わらない時刻になってしまう。ああ優雅な通勤時間のはずが。
 しかし、早朝からでも会うことがあるんだなあとか、一見した時にはまるでわからなかった*4けど、やはり在宅の認知症高齢者には色々な人がいるものだなあとか、しみじみ考える。

*1:普段は競歩気味。

*2:自宅へ電話してみることも提案したが、断られた。

*3:前回は拒否されたので物凄く大変だった。また会長(仕事の大先輩)によれば、警察が到着したら、いつまでも気にかけずにさっさと自分は離れる方が良いとのこと。警察は意外と上手らしい。

*4:薄化粧をして身なりを整えた綺麗な人だった。