視線との勝負

 朝から晩まで会長(仕事の大先輩)宅で仕事。会長の御家族がパンを買ってきてくれたので私も御相伴にあずかっていると、犬(ラブラドール)がやってきた。愛らしいこの老犬は、最近喉の腫瘍が大きくなってきたそうで、最近眠ってばかりいる。そんな調子が悪い彼がわざわざやってきたということで、つい情にほだされて(今まで殆ど分けたことがないのに)パンの端を与えてしまい、彼にぴったり張りつかれるワタクシ。
 横を見るとスタンバイする彼と眼が合うので、横を見ないようにしてパンを食べ続けていた。すると、テーブルの下に入り、私の膝の上に頭を載せて上目遣いに見上げる犬。物凄く凝視されてる……下を向けない……。ラブラドールの食欲と情熱に、「すみません私が半端者でした!」と、謝りたくなりつつ完食。物凄く食べにくかった。