恐怖と少々ロマンチストなわたくし

 朝、職場への道の途中で狸が死んでいた。寒さのあまりうつむいて足元ばかり見て歩いていたせいで、ほんの30cm前方に来るまで気がつかず、目を見開いて横たわる狸がいきなり視界に飛び込んできたので、驚いてギャッと声を上げてしまった。
 私と同様徒歩通勤だった師匠も同じ狸の死骸に遭遇したらしく、しかも師匠はカラスが死骸をついばもうとしているところを目撃したそうで、なかなかおぞましい光景だったらしい。
 朝見た光景を興奮気味に他スタッフへ話す師匠、「朝道端で狸が死んでたの。もうこーんな(両手で幅を示す)大きさで、ねえ?」と大きさを示す度に示す間隔が拡がっていて、なかなか興味深かった。多分あの幅は、師匠の驚きと恐怖を吸って膨れてんだな。