喉元過ぎれば熱さを忘れる年数

 職場(高齢者施設)で、最近やたらに戦時中エピソードを聞く。何故なのか考えてみて、施設の利用者平均年齢が大体85歳前後であることに思い当たる。今の85歳といえば、物心ついた頃に戦争開始で青春は戦争真っ只中*1という、あらゆる意味で軍国主義文化に骨の髄まで浸りまくった人達だ。そう考えると、戦時中エピソードが話題に不可避であることは凄く納得がいく。
 彼らは皆口を揃えて「あの頃は本当にいやだったし辛かった。今は良い時代になった」と言い、そして「もう二度と戦争することはないだろうけど」と言う。性別問わず皆そう言う。今日皆が皆口を揃えてあまりにそう言うので、いやーそれがねえ、最近の情勢見てると戦争はもう二度とないと言えるのかどうかわからんのですよ、と言ったら絶句していた。後進は何考えてんだと思ったかしら。
 先日「映像の世紀」を観ていたら、第一次世界大戦開戦時のヨーロッパ各国の反応について「50年の間、戦争がなかったヨーロッパは久しぶりの戦争に活気づいた」と説明していた*2。太平洋戦争は終戦から60年ちょっと。50年か60年かそこらで戦争は生々しさを失うのかな? とちらと思った。

NHKスペシャル 映像の世紀 第2集 大量殺戮の完成 [DVD]

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*1:終戦時は20代半ば。特攻隊世代ですね。

*2:ヒトラーは「(開戦が)青年期特有の憂鬱から自分を解放してくれたような気がした」と回想録の中で記述していたといってた。ナレーションによれば、開戦に対するこの感じ方はヒトラーに特別だったわけではなくて、結構ありふれた感じ方だったらしい。