「太陽」

 さっきまで空襲警報が鳴っていたのに、次にはアメリカ兵がワッサワサ出てきて、時期の設定は一体どうなっているのかわからなくなって激しく混乱する。上映開始から10分遅れて入ったせいでこんな目に遭っているのかと思ったのだが、玉音放送など重要な節目を出していないからだとの結論に至る*1
 全体的に何だかよくわからんなーという印象が強く、特に最後の場面がわからなかったのは大きなしこりになって残った。人間宣言を録音した若者は何故自決したのか。そして、それを伝えた侍従と聞いた天皇を代わる代わる見る皇后の表情が示す心の動きは何か。終わり方のあっけなさ。あー何だかな、よくわからなかったな、所詮自分てば、ハチクロもロクに理解できない朴念仁だからなーとしょんぼりしてたら、終映後「難しかったねー」と感想をもらしてる人がいて、ちょっと安心。
 あと、天皇は表情が独特で心情が凄く把握しにくかったこともわかりにくさの理由の1つだと思った。多分実際の昭和天皇の動きを真似ているのだと思うが、口をパクパクさせる、指をパタパタパタと動かす、思いがけないことを言われても「あっそ」の一言で済ませてしまう。ちょっと知能に障害ありそうな感じだよな、いや、神様として生きた特殊な人ゆえの動きかもしれんぞ、等色々考える。「あっそ」は天皇だけの口癖かと思ったら、皇后まで「あっそ」と言うのには笑った。
 侍従と天皇のやりとりも大変可笑しかった。チョコレートを受け取る場面、悩む天皇を気づかう侍従と天皇のやりとり。もうほとんどコントの動き。全編静かな調子の映画で、かつ扱うテーマは重いので、時折出てくるこのコントみたいなシーンにはホッとさせられた。

*1:あと、マッカーサー付きの通訳がアメリカ兵であるにもかかわらず、神としての天皇の立場を一生懸命守ろうとしているのがよくわからなかった。日系人の兵士ということだったんだろうか? でも戦争が始まってから日系人はあからさまな差別を受けるようになっていたはずだし、司令官の身近にいられるような階位になれたのかしら? マジでわからなかった。