豊田道倫 夏のツアー〜ギターと女とアイスクリーム 2006 at gallery soap(小倉)
酒蔵をリノベーションして造られたらしいSOAPは天井が高く、すすけた梁が剥き出しで、なかなか素敵だった。客は30人足らずといったところか。ウロウロ歩き回る豊田さんの後ろ姿を眺めていると、腰回りの肉がムワッとせり出しているのが見えて、寄る年波を感じた。ま、大きなお世話ですな。
ザ・ムンズ
前観た時より、曲のカラーが統一されていた印象。新譜を出すという話が出ていたので、新譜からの曲が中心だったのかもしれない。大切な人がいなくなってしまった内容の歌が続き、曲調も切ない。ギターの音は好みだし、破裂するように入るドラム、細く絡みつくような女性コーラスは素敵だ。
中盤、ギターの人が曲を中断して曲目表(?)をしばらく覗き込んだ後、ドラムの人に向かって大声で何事か怒鳴ったので驚いた。なになになになに?と様子を見ていると、ドラムの人が前に出てきてギターの人に「お客さんにお尻を向けるな」「『おまえが嫌いだー!』と言ってもいい。けど俺に言うな。(客席を指し)こっちに向かって言え」と諭していた。いや、後者は客席に言うても仕方ないやろ(笑)。結局、何があったのかよくわからないままステージ続行。最後は鍵盤曲でシメだった。
9月24日に小倉でワンマンがあるらしい。ちょっと行きたい。
旅打ち(工藤冬里ユニット)
工藤冬里ユニットと銘打たれているものの、工藤冬里がいなかったような気がする。サックス、キーボード、トランペット兼ドラム、ギターボーカルの人、計4名全て男性だったような……。クレイアニメの音楽のような、子どもがひそひそおしゃべりしているような、そんな感じの音楽。普段あまり吹いてないんだろうなーという感じのヘタレたトランペットに萎える。金管楽器は残酷な楽器だよなあ。こういう、音同士のやりとりを楽しむタイプのユニットの場合はヘタレた音も1つの味なんだろうけど、私にはよくわからなかった。
豊田道倫
あれ、この人こんなにポップだったっけ? というのが最初の印象。「東京の恋人」は以前見た時は気づかなかったのだけど、随分可愛らしい曲調の曲だったのね……*1。聴いていて、人は結局一人で死んでいくんだなあとふと思う。切ないけど、でもそれが寂しいことだとか空しいことだという感じが全然しない。ただ、そういうもんだという感じ。
最初の1〜2曲でずるっと引き込まれる。前回観た時のことを考えると、引きずり込まれるまでの時間の早いこと。歌詞の身に迫ってくる感じは相変わらず。甘くて生臭くて切なくて恥ずかしい。絶対人と一緒に観に行くことはないだろうな。しょっちゅう涙出るから見られたくないし。「♪やっと一人になれた〜」という曲の時に、マックを使ってノイズばりばりになった時があったが、それも醒めることなく聴いていられた。この人のノイズばりばりの曲は好きではなかったので、ちょっと意外。「このみ先生」「戦争に行きたかった」が聴けたのは嬉しかったな。
ところどころMCが入っていたが、客の反応は静か。ムンズの人(多分)が、カウンターの中でツッコんだり合いの手を入れたりしていた。MCによると、新宿シアターpooのライヴの客は男性ばかりらしい。……フジロック、Duo Dialoguesと並んで一度は行ってみたいライヴの一つだったんだけど、そう言われるとちょっとひるむ。
先の「旅打ち」でサックスを吹いていた人*2が呼び込まれて一緒に演奏していた。何だかえらく動きがぎくしゃくしていて、緊張しているのかしら? とちょっとハラハラした。
終演は終電(10時半ごろ)の時間を過ぎることを覚悟していたのだが、アンコールを2回しても10時過ぎには終了して拍子抜けする。前に2バンド出るので、短めにセットリストを組んでいたと言っていた。いつも長く演奏するわけではないのね。
外に出ると雨は止んでいた。小倉はそれなりに大きい街なのでネオンが瞬いていたけど、人通りはあまり多くなくて静かできれいだった。今日は買出しに行ったり雨に降られたり電車に乗り損ねそうになったりで走ってばかりいる日で、疲れてしまって例によってまた行こうか行くまいか迷ったのだけど(小倉遠いし)、来て良かった。
セットリスト
- 雨がやんだ
- 東京の恋人
- LIFE
- 飲みに行こうか
- グッバイ大阪
- 8.11.昼
- 戦争に行きたかった
- 恋人でもなく友達でもない
- マイ・ラブ
- 35の夜
- このみ先生
- UFOキャッチャー
- うなぎデート
〜アンコール〜
星
移動遊園地グッバイメロディー
6〜10,「星」 with 城戸英章(sax)