ディスコミュニケーション

 祖母の病状説明を医師から受けるために病院へ行く。病院事情には全然詳しくないのでよくわからないのだが、患者本人の意識がはっきりしている場合、家族に病状説明をおこなうかどうかの希望を患者に尋ねなくて良いものなのかしら。しかも患者のいないところで家族に対する病状説明って最近の病院倫理的にどうなんだろう。私が患者だったら、私の知らないところで家族に病状説明されるのは嫌なんだが。

 毎回母から電話で説明を受ける度に、一体どういう病状なのかさっぱりわからなくてイライラしていたので、今回医師にかぶりつきで尋ねるわたくし。貧血は無いのに提携診療所で貧血の治療をしていたことがわかり、どうして? と尋ねるが主治医は入院後の担当なので外来治療のことはわからないとの回答。ああ、今手元に外来カルテがないんですね、とフォローのつもりで言ったら「ある」との返答。「外来カルテがあるのにどうしてわからないんですか?」と聞いたらそれが爆弾だったらしく、主治医マジギレ。その場で電話して外来担当医(院長)を呼ぶことになる。5時過ぎに院長を呼び出し……。今回のテーマは「気に入らなくても怒らない・相手を怒らせない/礼儀正しく振舞うこと」だったので、発言には注意していたつもりだったのだが……。
 あああ怒らせちゃったな、としょんぼりして院長と面接。しかし院長の説明は極めてクリアーであり、今までさっぱりわからなかった祖母の病状*1が非常によくわかったのだった。お腹にできた腫瘍がいかんのだそうだ。というか、入院後担当の主治医の説明を聞いただけでは腫瘍ができているのかどうかさえ私にはわかっていなかった。一番基本的な部分の話も擦れ違っていたなんて、と暗澹たる気持ちになる。きちんと相手の話を理解するのってこんなに難しいことなんだなあ、とちょっとショックだった。もしかすると単に私の理解力の問題かもしれんが。
 あと、ちらちら思ったことなど。今後の自分の仕事のために。

  • 患者に対するスタッフのタメ口は、家族としては結構気になるものだった*2。患者−スタッフ間では親しくなってくるとタメ口になりがちだけど、家族はスタッフと親しいわけでもないので「馴れ馴れしい」と感じてしまう。相手に愛着が湧き始めるとつい私もタメ口になってしまいがちなので、これは重々気をつけようと思った。
  • 「検査のために一食抜く」とかあっさり言うけど、相手は病人。一食遅れることに伴う苦痛や不快に配慮して欲しいと思った。要は、いきなり『これから検査に行くから今から絶飲食ね』とかあっさり言うなと。せめてすまなそうな顔くらいしろと。病院と医師が忙しいのはわかるが。
  • 祖母が入院している病院の、医師のガサツな雰囲気に嫌な気持ちになることが多いのだが、これは外科医だからなんだろうかと推察している。今まで見てきたのは内科医と精神科医ばかりだもんな。


 

*1:入院後担当の主治医の説明を「祖母の脚の腫れの原因は不明。今日検査したけどこれで明らかになるかはわからない。わかるまで検査を続ける、外科的な検査でわからなければ内科にも回す。処置は腫れへの対処だけで、あとは何もしてない。ていうか俺はまだ創部を診てない。」みたいな内容であると理解していたので、「原因をつきとめる検査がそんなに大事かあ!! 検査ばっかりしているうちに死んでしまうぞ! もうこんな病院やめて、転院する方がいいんじゃね?」と思っていた。でも院長の説明では、ちゃんと原因はわかっていたし、予後の見通しも大体立っていたのだった。入院後担当の主治医の検査は「正体をつきとめるためのダメ押し検査」だったらしい。

*2:入院初日でスタッフにタメ口きかれているのを見たりするのは、もう不快の域。